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小規模不動産特定共同事業とは?
資金調達法や活用例をご紹介
はじめに
不動産仲介業への参入を検討している方の中には、小規模不動産特定共同事業に興味を持っている方も多いと思います。
しかし、小規模不動産特定共同事業は一般的な不動産仲介業とは違い、登録要件を満たさなくてはならない、出資者を募らなくてはならず、成功へと導くためにも特徴をしっかり理解した上で臨むことが大切です。
この記事では、小規模不動産特定共同事業とは何なのか、はじめ方と登録要件、出資者を募る方法、具体的な活用イメージについて解説します。特に社会問題となっている「空き家」の活用に有効な手段でもあるため、知りたい方は是非参考にしてください。
小規模不動産特定共同事業とは
小規模不動産特定共同事業とは、不動産業者が投資家から募った出資金で不動産を取得・改修した後、売買や賃貸借によって得た収益を出資割合に応じて出資者に分配する事業です。
不動産証券化手法の1つに分類され、不動産業者は不動産取得や改修にかかる費用負担を軽減できる、物件の管理を自社で行うことで管理委託費や仲介手数料といった報酬を受け取れるなどのメリットがあります。
不動産仲介業とは、売買・賃貸を仲介することで仲介手数料を得るビジネスモデルですが、頻繁に仲介依頼を受けられるわけではないため、安定的・継続的な収入を得られるわけではありません。
しかし、小規模不動産特定共同事業をはじめることによって、自身に十分な資力がなくても不動産投資による利益、管理を手掛けることによる手数料を得られるため、新たなビジネスモデルとして注目されています。
小規模不動産特定共同事業が生まれた背景
バブル崩壊によって投資家が不動産投資で甚大な被害に遭うケースが増えたことから、不動産投資家の利益の保護と適正な運営を図ることを目的として、不動産特定共同事業法という法律が制定されました。
不動産業者が投資家に出資を募って不動産を取得・改修した後、賃貸または売却によって収益を得て出資者に分配する行為は不動産特定共同事業法に定める不動産特定共同事業に該当します。
不動産特定共同事業法に基づく許可が原則必要であったことから、不動産特定共同事業を行える不動産業者は限定されていました。
しかし、平成29年(2017年)12月に、不動産特定共同事業法の法改正によって新たに小規模不動産特定共同事業が創設されたことで対象範囲が広がったため、不動産特定共同事業に参入しやすくなりました。
小規模不動産特定共同事業のはじめ方と登録要件
小規模不動産特定共同事業をはじめたいと思ってもすぐはじめられるわけではありません。また、登録要件を満たしていないと小規模不動産特定共同事業をはじめられないという点にも注意が必要です。
小規模不動産特定共同事業のはじめ方と要件を詳しく解説していきます。
小規模不動産特定共同事業法に基づく登録を行う
小規模不動産特定共同事業をはじめる際は、小規模不動産特定共同事業法に基づく登録が必要です。
1つの都道府県内に事務所を設置する場合は都道府県知事、2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合は主務大臣に登録します。
登録には以下のような書類が必要です。
- 小規模不動産特定共同事業登録申請書
- 定款
- 登記事項証明書
- 不動産特定共同事業契約約款
- 組織に関する事項が記載された書面
登録制ではあるものの、事前面談や事前申請が行われる点に注意してください。
小規模不動産特定共同事業者の要件と事業範囲
小規模不動産特定共同事業者として登録を受けられるのはすべての業者ではなく、以下の要件を満たす業者に限られています。
- 資本金が1,000万円以上
- 純資産が資本金または出資額の90%以上
- 宅地建物取引業の免許を有している
- 募ることができる出資の合計額は1億円以下
- 投資家1人あたりの出資額が100万円以下(特例投資家は1億円以下)
参照:国土交通省「不動産特定共同事業等について」
不動産特定共同事業と違うのは、資本金が少ない場合でも事業をはじめられる、1人あたりの投資家の出資額と出資の合計額に上限が設けられている(事業範囲が制限されている)という点です。
上記の条件を満たしている場合、主務大臣または都道府県知事による登録手続きを済ませれば、小規模不動産特定共同事業者として事業をはじめられます。
出資を募る方法について
小規模不動産特定共同事業者として登録完了後、事業をはじめるための出資を募ることになります。
出資を募る方法は、大きく以下の2つに分けられます。
- 自ら出資を募り資金を調達する
- 資金調達を委託する
それぞれの方法について詳しく説明していきます。
自ら出資を募り資金を調達する
まずは不動産会社が自ら直接出資を募って資金を調達するという方法です。
不動産投資に興味を抱いている取引先に出資を募る、広く投資家に勧誘・募集してから契約を締結するなどの方法が挙げられます。
小規模不動産特定共同事業が成功するかは、出資者が集まるかどうかによって大きく左右されます。
取引先が多くない、集客力に自信がないという方は、投資家が数多く集まっているクラウドファンディングを活用するのも選択肢の1つです。
資金調達を委託する
小規模不動産特定共同事業には興味があるものの、出資者を募ることは専門外なので難航して困っている方も多いと思います。
そこで選択肢として挙げられるのが資金調達を専門業者に委託するという方法です。
専門業者に委託すると言っても、どのような業者でも問題ないというわけではありません。委託する業者は、不動産特定共同事業契約の締結に関して代理または媒介についての許可を得ている業者に限られます。
専門業者に委託すれば、専門業者の人脈を利用したオフラインによる募集、クラウドファンディングといったオンラインによる募集によって速やかな資金調達が期待できます。
事業に専念したいのであれば、資金調達を外部に委託する方法が適しているでしょう。
小規模不動産特定共同事業の具体的な活用イメージ
出資を募って資金調達に成功した場合、いよいよ不動産を活用した事業を開始できます。
事業展開の方法はさまざまですが、速やかに事業を開始するには、具体的な活用イメージを抱いておくことが大切です。
具体的な活用イメージとして、以下の5つが挙げられます。
- 空き店舗をリノベーションし賃貸事業を営む場合
- 空き地を取得し、新築工事を行った上で売却する場合
- 賃貸住宅のリニューアル工事を行った後に賃貸事業を営む場合
- オフィスビルを取得し賃貸事業を営む場合
- 空き家を使ったビジネスの可能性
それぞれの活用イメージを詳しく紹介していきます。
その1・空き店舗をリノベーションし賃貸事業を営む場合
1つ目は出資金で空き店舗を取得し、リノベーションしてから賃貸事業を営むという活用方法です。
例えば、空き店舗をリノベーションして宿泊業や飲食業などを手掛ける業者に貸し出して賃料収入を得ます。事業で得た賃料収入は出資割合に応じて定期的に出資者に分配します。
また、最初に定めた運用期間に達した場合には、最終的に物件を売却し、売却益も出資割合に応じて投資家に分配することになるので覚えておきましょう。
その2・空き地を取得し、新築工事を行った上で売却する場合
2つ目は出資金で空き地を取得し、新築工事を行った上で売却するという活用方法です。
新築工事完了後に物件を売却し、売却益を出資割合に応じて出資者に分配します。
賃貸事業ではないことから、安定的・継続的な賃料収入を得ることはできませんが、まとまった大きな利益が期待できるのが特徴です。
その3・賃貸住宅のリニューアル工事を行った後に賃貸事業を営む場合
3つ目は出資金で賃貸住宅を取得し、リニューアル工事を行ってから賃貸事業を営むという活用方法です。
1つ目の空き店舗をリノベーションし賃貸事業を営む場合と同様に、賃料収入や売却益などを出資割合に応じて出資者に分配します。
店舗は賃料設定が住宅と比べて高く設定されるので利回りが高くなりがちですが、需要が限られており、一度空室になるとなかなか埋まりにくいという特徴があります。
一方、住宅は賃料設定が低い分、利回りも低くなりがちですが、安定した需要を確保できる点が魅力です。
その4・オフィスビルを取得し賃貸事業を営む場合
4つ目は出資金でオフィスビルを取得し、賃貸事業を営むという活用方法です。
貸し出したテナントから得た賃料収入と事業終了後の売却益を出資割合に応じて出資者に分配します。
オフィスビルは他の活用方法よりも出資金が大きく、利回りの高い運用が期待できる一方、一度空室になるとなかなか埋まりにくいという点に注意が必要です。
その5・空き家を使ったビジネスの可能性
5つ目は出資金で空き家を取得し、ビジネスに転用するという活用方法です。
少子化の進行によって人口が年々減少しており、空き家の増加が社会問題化しています。
空き家と聞くと、立地条件が悪く、劣化が進行している質の低い物件を想像した方も多いかもしれませんが、立地条件や状態の良い質の高い物件が潜んでいるケースも多いです。
質の高い空き家を出資金で取得・改修してから賃貸事業を営む、売却することで、ビジネスにつなげることが期待できます。
少子化が進む日本ではこれからも空き家が増える可能性が高く、空き家を有効活用することによる社会問題の解決(社会貢献)にもつなげられるという理由から注目されています。
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小規模不動産特定共同事業が新たなビジネスチャンスになるということは分かったところで、不動産に関する知識がなければせっかくのチャンスを活かせません。
小規模不動産特定共同事業をビジネスに活かすためには、不動産に関する知識を身に付ける、支援サービスの利用を検討することも大切です。
しかし、知識を身に付けると言っても、インターネット上には誤った情報が見られることも多く、価値の高いリアルタイムの情報を得られないという点に注意してください。
また、支援サービスを提供している企業のサポートが不十分だった場合、小規模不動産特定共同事業が失敗に終わる可能性もあるため、信頼できるパートナー選びも重要です。
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小規模不動産特定共同事業に興味がある方は、是非一度ご相談ください。
まとめ
不動産仲介業は、売買や賃貸の仲介を行い、仲介手数料収入を得るビジネスモデルです。しかし、仲介依頼は不定期で、安定的・継続的な収入源ではありません。
そのため、他のビジネスモデルの導入を検討している方も多いと思います。そこで注目されているのが小規模不動産特定共同事業です。
小規模不動産特定共同事業を手掛ければ、自身だけでは融資を受けることができず投資できなかった案件にも着手できるようになります。また、管理を手掛けることで安定的・継続的な収入を得ることも可能です。
しかし、小規模不動産特定共同事業を手掛けたからと言って、成功が保証されているわけではありません。
不動産に関する知識をしっかり身に付ける、信頼できるパートナーのサポートを受けることが不可欠なので、土台を整えてから事業を開始しましょう。