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  3. 不動産で独立は難しい?廃業率や失敗回避のポイントを解説

不動産で独立は難しい?
廃業率や失敗回避のポイントを解説

はじめに

不動産会社で営業職として働いていると、「そろそろ独立して自分の会社を持ちたい」と考えることがあるのではないでしょうか。確かに不動産業は他業種に比べて独立のハードルが低く、毎年多くの方が新規開業しています。しかし同時に、開業後の経営維持に苦労する方も少なくありません。

この記事では、不動産業での独立開業に関する実態データを示しながら、なぜ独立しやすいと言われているのか、また独立の難しさや課題は何か、そして成功のために押さえておくべきポイントについて詳しく解説します。独立を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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不動産業で独立が多い3つの理由

不動産業で独立が多い3つの理由

不動産業では、多くの業者が新規開業しています。これはなぜでしょうか。他業種と比較して独立開業が多い背景には、以下3つの大きな理由があります。

  • 少ない資金で始められる
  • 在庫が発生しない
  • 仕事の単価が高い

それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

1. 少ない資金で始められる

不動産業は、他の業種と比較して比較的少ない資金で開業できることが特徴です。製造業や小売業のように、商品の仕入れや在庫管理のための大きな初期投資は必要ありません。オフィスの賃料や基本的な事務機器、そして宅建業の免許取得費用が主な開業資金となります。

さらに近年では、自宅をオフィスとして開業したり、シェアオフィスを活用したりすることで、さらに初期費用を抑えることも可能です。このように、資金面でのハードルが比較的低いことが、多くの方が独立を選択する理由の一つとなっています。

2. 在庫が発生しない

不動産業の大きな特徴として、物品の在庫を持つ必要がないことが挙げられます。不動産仲介業の場合、すでに市場に出回っている物件の売買や賃貸の仲介を行うため、自社で不動産を保有する必要はありません。

これは製造業や小売業と比べて大きな利点です。在庫を持たないということは、在庫管理にかかるコストや労力が不要であり、また売れ残りのリスクもないということです。このように、在庫に関するリスクが少ないことも、独立開業のハードルを下げている要因の一つです。

3. 仕事の単価が高い

不動産取引は一般的に高額な取引となるため、1件の成約で得られる収入も比較的大きくなります。例えば、3,000万円の物件の売買仲介では、約96万円(消費税別)の仲介手数料を得ることができます。両手仲介(売主・買主の双方から仲介手数料をいただく)の場合は、その倍額です。

このように1件あたりの取引単価が高いということは、少ない案件数でも一定の売上を確保できる可能性があるということです。これは、独立開業後の事業継続において大きな魅力となっています。

不動産業(宅建士)の登録者数はどれくらい?

不動産業(宅建士)の登録者数はどれくらい?

不動産業界の現状を理解する上で、業界全体の規模を把握しておくことは重要です。ここでは、宅建士の登録者数と不動産業者数の推移のほか、廃業者数の推移について見ていきましょう。

登録者数は増加傾向

国土交通省の調査によると、宅地建物取引士の新規登録者数は毎年2万人から3万人程度で推移しており、令和5年度の総登録者数は約118万人に達しています。この数は年々増加傾向にあります。

また、不動産業者数は令和5年度で約13万件となっています。これは日本全国のコンビニエンスストア6万店弱の2倍以上にあたる数字です。このことからも、不動産業界の規模の大きさと、参入の多さがうかがえます。

参考:国土交通省|令和5年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について

廃業者数は横ばい

一方で、毎年約4,000業者が廃業しているのも事実です。ただし、この数字は近年横ばいからやや減少傾向にあり、廃業率は約3%程度です。これは一般企業の平均廃業率(約27%)と比べると、決して高い数字ではありません。

つまり、毎年2万人以上が新規に開業し、4,000業者程度が廃業する。この差し引きで不動産業者数は緩やかに増加を続けているのが現状です。この状況は、業界の安定性を示す一方で、競争の激化も示唆しています。

不動産業で独立が難しいと言われる理由

不動産業で独立が難しいと言われる理由

不動産業は参入のハードルが比較的低い一方で、事業の継続や成長には多くの課題があります。ここでは、なぜ不動産業の独立が「難しい」と言われているのか、以下4つの主な理由を見ていきましょう。

  • ライバルが多い
  • 売り上げが安定しない
  • 集客が難しい
  • 事業の継続が難しい

ライバルが多い

先述した通り、不動産業者数は全国で約13万件にのぼり、毎年増加傾向にあります。これは、それだけ競合となるライバルが多いということを意味します。特に都市部では、一つのエリアに複数の不動産会社が存在することも珍しくありません。

大手不動産会社からの独立組や、異業種からの参入者など、さまざまな背景を持つ競合との競争は年々激化しています。このような環境下で、新規参入者が安定した取引を確保することは容易ではありません。

売り上げが安定しない

不動産業の特徴として、売上の波が大きいことが挙げられます。不動産取引は季節性があり、また経済状況や市場環境の影響を受けやすい特徴があります。例えば、賃貸物件は引っ越しシーズンに需要が集中し、売買物件は景気動向に左右されやすい傾向です。

また、1件あたりの取引単価は高いものの、それだけに成約までの期間が長くなることも多く、安定した月次収益を確保することが難しい面があります。特に独立開業直後は、このような売上の波に対応できる資金的な余裕を持っておく必要があるでしょう。

集客が難しい

独立開業後、最も直面する課題が集客の問題です。大手不動産会社に勤務していたときは、会社のブランド力や知名度を活用できましたが、独立後はそれらがゼロからのスタートとなります。

特に開業直後は、物件情報の収集や顧客との信頼関係構築にも時間がかかります。ウェブサイトの構築やポータルサイトへの掲載、チラシの配布など、様々な集客活動が必要となりますが、これらには相応のコストと時間がかかるでしょう。

事業の継続が難しい

上記の要因が複合的に絡み合い、不動産業での独立は「事業の継続」という観点で難しいと言われています。確かに開業自体は比較的容易ですが、競合との差別化、安定した収益の確保、効果的な集客活動など、継続的に事業を成長させていくための課題は少なくありません。

このため、独立してから3年以内に事業継続を断念するケースも少なくありません。「不動産業の独立は難しい」という評価は、このような中長期的な事業継続の難しさを反映したものと言えるでしょう。

不動産業の独立で失敗しないための5つのポイント

不動産業の独立で失敗しないための5つのポイント

これまで見てきたように、不動産業の独立にはさまざまな課題があります。しかし、適切な準備と戦略があれば、これらの課題を克服することは可能です。ここでは、独立で失敗しないための重要なポイントを5つご紹介します。

1. 営業だけに注力しない

独立後は経営者として、営業以外の様々な業務にも目を向ける必要があります。特に重要なのが、経営管理や人事、財務といったバックオフィス業務です。これまで会社が担ってくれていた経理処理や税務申告、従業員の採用や労務管理なども、すべて自分で対応しなければなりません。

例えば、売上や経費の管理、資金繰りの計画、従業員の給与計算や社会保険の手続きなど、実務的な業務は多岐にわたります。これらを疎かにすると、いくら営業で成果を上げても会社の経営が立ち行かなくなる可能性があります。独立後は「営業職」から「経営者」への意識の転換が必要不可欠です。

2. 事前に市場調査をしておく

不動産業界では、知名度やブランド力のある大手企業が優位に立つことが多いのが実態です。これは、不動産取引において顧客が会社の信頼性を重視するためです。そのため、独立前に徹底的な市場調査を行い、自社のポジショニングを見極めることが重要です。

具体的には、出店予定エリアの競合状況、各社の取扱物件の特徴、価格帯、主要なターゲット層などを詳細に分析します。また、そのエリアの人口動態や開発計画、不動産需要の傾向なども把握しておく必要があります。これらの情報をもとに、市場の中で自社がどのような立ち位置を取るべきか、綿密な戦略を立てることができます。

3. 差別化について考えておく

大手不動産会社と同じサービスを提供しても、新規参入者が勝ち残ることは困難です。そのため、他社との明確な差別化戦略を持つことが不可欠です。単に「親切、丁寧」といった一般的な特徴ではなく、より具体的で明確な差別化ポイントを見つける必要があります。

例えば、女性向けの賃貸物件に特化する、富裕層向けの高級物件専門とする、外国人居住者向けの物件を重点的に扱うなど、特定のターゲット層に焦点を当てた専門性の高いサービスを提供することが考えられます。また、リノベーション物件専門、デザイナーズ物件特化など、物件タイプによる差別化も効果的です。このように、大手にはない特色を打ち出すことで、独自の市場ポジションを確立することが可能になります。

4. 運転資金を用意しておく

不動産業は売上に波があり、特に開業直後は安定した収入を得ることが難しい特徴があります。事務所の賃料、光熱費、ホームページの管理費、ポータルサイトへの掲載料など、毎月の固定費は確実に発生します。そのため、最低でも半年から1年分の運転資金を確保しておくことが重要です。

十分な資金的余裕があることで、焦って効果の見込めない広告に投資してしまうといった判断ミスを防ぐことができます。また、じっくりと顧客基盤を築き上げる時間的余裕も得られます。開業後しばらくは収入が不安定になることを前提に、余裕を持った資金計画を立てることが賢明です。

5. Webやマーケティングの知識を付けておく

不動産業界は従来のアナログな営業手法が根強く残る一方で、近年ではデジタル化が急速に進んでいます。物件検索や問い合わせの多くがインターネット経由で行われる現在、WebマーケティングやSNSの活用は必須のスキルです。

独自のウェブサイトの構築・運営やSNSでの情報発信、オンライン内見など、デジタルツールを効果的に活用することで、大手にはない機動力のある営業活動が可能になります。また、デジタルマーケティングの知識は、より効率的な集客や顧客フォローにも活かすことができ、事業の成長に直結します。

不動産業の独立開業でよくある失敗のパターンについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
気になる方はぜひご一読下さい。
>>不動産業開業・独立で失敗しやすい10のパターン

フランチャイズ加盟で独立のリスクを軽減

独立開業後の最大の課題は、知名度のなさから来る集客の難しさです。特に不動産取引では、顧客は知名度と信頼性を重視する傾向が強く、新規開業の個人事業者では苦戦を強いられがちです。

この課題を解決する一つの方法が、フランチャイズへの加盟です。全国的な知名度を持つフランチャイズチェーンの看板を掲げることで、開業直後から一定の信頼性と集客力を確保することができます。また、本部からの経営ノウハウの提供や研修制度など、独立後の事業運営をサポートする体制も整っているため、経営リスクを大幅に軽減することが可能です。

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まとめ

不動産業での独立開業は、参入のハードルこそ低いものの、事業の継続と成長には様々な課題があります。しかし、十分な事前準備と計画、そして適切な経営戦略があれば、決して達成できない目標ではありません。

特に重要なのは、営業力だけでなく経営者としての視点を持つこと、市場調査に基づく差別化戦略、十分な運転資金の確保、そしてデジタルマーケティングへの対応です。また、フランチャイズ加盟という選択肢も、リスク軽減の有効な手段となります。

これらのポイントを押さえた上で、自身の強みを活かせる事業計画を立て、着実に実行していくことが、不動産業での独立成功への近道となるでしょう。

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