独立するには？
3つの独立形態や成功のための事前準備について解説

はじめに

「いつかは自分の事業を持ちたい」「自分の裁量で仕事がしたい」といった思いから、独立を考える方は少なくありません。独立すれば自由な働き方ができ、より大きな収入を目指すこともできます。しかし、その一方で収入が不安定になったり、さまざまな手続きを自分で行う必要が出てきたりするなど、決断する前に知っておくべき重要な側面があります。

この記事では、独立の形態や準備すべきことについて詳しく解説し、独立を検討している方が適切な判断を下せるよう、必要な情報をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

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独立するメリット

独立して事業を始めることには、さまざまな魅力やメリットがあります。以下では、独立することで得られる主な4つのメリットについて、具体的に解説していきます。

• 自由な働き方ができる
• 収入アップが見込める
• 定年がない
• 節税の対策ができる

独立するデメリット

独立にはさまざまなメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。以下のような主要な3つのデメリットについてしっかりと理解し、それらに対する対策を考えておくことが重要です。

• 収入が安定しない
• 各手続きを自分で行う必要がある
• 失敗のリスクがある

以降で詳しく解説します。

収入が安定しない

独立後は、会社員として働いているときのような安定した収入は期待できません。特に独立して事業を始めた直後は、顧客の獲得に時間がかかったり、仕事の受注が安定しなかったりするため、収入が大きく変動する可能性があります。会社員の場合、毎月決まった給与が支給されますが、独立者の場合は月々の売上や利益によって収入が変動します。そのため、収入が少ない月や、まったく収入がない月も覚悟しておく必要があるでしょう。

このような収入の不安定さに対応するためには、独立前から余裕資金を確保しておくなど、慎重な資金計画が必要不可欠です。特に独立後、事業が軌道に乗るまでの期間は、生活に影響が出ないような経済的な備えをしっかりと準備しておくことが重要です。

各手続きを自分で行う必要がある

独立すると、これまで会社が一括して行っていたさまざまな手続きを、全て自分自身で行わなければなりません。会社員の場合、確定申告や税金の納付、社会保険の手続きなどは、基本的に会社が代わりに行ってくれます。しかし、独立後はこれらの手続きを全て自分で理解し、適切なタイミングで確実に実施する必要があるのです。

特に税務関連の手続きは複雑で、確定申告や消費税の申告、帳簿の記帳など、専門的な知識が必要となる作業も多くあります。また、健康保険や年金などの社会保険関連の手続きも自分で行う必要があり、これらの事務作業に相当な時間と労力を割かなければなりません。本来の事業活動以外にも、このような管理業務に時間を取られることは、独立する際の大きな負担となるでしょう。

失敗のリスクがある

独立して事業を始めても、必ずしも計画通りに成功するとは限りません。事業の立ち上げに多くの時間と労力、資金を投資しても、期待通りの成果が得られないリスクが常に存在します。会社員として働く場合は、会社の経営状態が悪化しても、ある程度の保証や保護を受けられますが、独立者の場合は事業の失敗による損失を全て自己負担しなければなりません。特に開業資金を借入金で調達している場合、事業が上手くいかなければ返済に苦しむことになりかねません。

また、顧客とのトラブルが発生した場合も、その対応や賠償などの責任は全て自分で負うことになります。このような失敗のリスクを最小限に抑えるためには、事前の市場調査や事業計画の策定、リスク管理など、慎重な準備と対策が必要不可欠です。

独立する前にしておきたい5つのこと

独立を成功させるためには、入念な事前準備が必要不可欠です。特に資金面や事業計画、知識の習得など、さまざまな側面での準備が求められます。ここでは、独立前に必ず行っておくべき5つの重要な準備について詳しく解説していきます。

• なぜ独立したいかを明確にする
• 独立する時期を決めておく
• お金の知識を身に付ける
• 事業計画を立てておく
• 独立資金を用意しておく

これらの準備を怠ると、独立後にさまざまな困難に直面する可能性が高くなります。以下の5つのポイントについて、しっかりと時間をかけて準備を進めていきましょう。

独立の3つの形態

独立を目指す際には、以下3つの形態から、自分に合った形を選択する必要があります。

• 個人事業主
• 法人化
• フランチャイズ

それぞれの形態によって、法的な手続きや責任の範囲、税制面での取り扱い、事業の自由度などが大きく異なります。自分の事業規模や将来のビジョン、経験やスキルなどを考慮しながら、最適な形態を選びましょう。

1. 個人事業主

個人事業主は、最も手軽に始められる独立形態です。税務署に「開業届」を提出するだけで開業でき、事業主自身が全ての責任を持って経営を行います。小規模な事業から始められ、事業内容や運営方法を自由に決められるのが特徴です。青色申告を選択することで、税務面での優遇も受けられます。また、事業が成長して規模が大きくなった場合は、法人化への移行も可能です。初めて独立する方や、まずは小規模から始めたい方に適した形態と言えます。

メリットとデメリット

個人事業主の最大のメリットは、小資金から始められ、開業手続きが簡単なことです。事業で得た資金は事業主個人のものとして自由に運用でき、事業内容の変更も法的な手続きなしで行えます。会計処理もシンプルで、経営の自由度が高いため、自分のペースで事業を展開できます。

一方、デメリットとしては、所得が増えれば増えるほど税率が高くなり、経費として認められる範囲も法人より狭くなります。また、社会的な信用度が法人に比べて低いため、公共事業の受注や取引先の開拓で不利になることがあります。従業員5人未満の場合は社会保険加入が義務化されないため、人材採用面でも課題となる可能性があるでしょう。

2. 法人化

法人化とは、法律に基づいて法人格を持つ組織として事業を行う形態です。一般的には株式会社や合同会社として設立されることが多く、設立時には定款の作成や登記申請など、さまざまな法的手続きが必要となります。法人は個人事業主とは異なり、経営者個人とは別の法人格として扱われ、事業に関する責任は原則として法人の財産の範囲内に限定されます。将来的な事業拡大を見据えている場合や、大規模な事業展開を予定している場合に適した形態です。

メリットとデメリット

法人化の大きなメリットは、社会的信用度の高さです。これにより、銀行からの融資が受けやすくなり、取引先との関係も築きやすくなります。また、事業所得が増えるほど税負担が軽くなる仕組みがあり、経費として認められる範囲も広いため、効果的な節税が可能です。万が一事業が失敗した場合でも、有限責任のため個人財産は保護されます。

しかし、法人化には個人事業主と比べてさまざまなハードルがあります。設立時には約25万円の初期費用が必要で、登記書類や定款の作成など手続きも複雑です。また、設立後は社会保険料の支払い義務があるため従業員の雇用コストが高くなり、会計処理も複雑になります。維持費用が継続的にかかるため、確実な売上や利益計画がない場合は事業継続が困難になる可能性があります。

3. フランチャイズ

フランチャイズは、本部（フランチャイザー）と加盟店契約を結び、その商標やビジネスモデル、ノウハウを活用して事業を展開する形態です。本部の確立されたシステムやブランド力を活用できるため、独自のビジネスモデルを一から構築する必要がありません。開業前の研修や開業後のサポートも充実しており、事業経験が少ない方でも比較的安心してスタートできます。特に、専門的な知識やノウハウが必要な業界での独立を考えている方に適した選択肢となります。

メリットとデメリット

フランチャイズの最大のメリットは、専門的なノウハウがなくても開業できることです。本部の指導を受けて短期間で事業を始められ、開業後も継続的なサポートを受けられます。確立されたブランド力やシステムを活用できるため、一から事業を立ち上げる場合と比べて成功の可能性が高まります。未経験の業界でも、本部のノウハウを活用することで独立開業が可能です。

一方で、加盟金やロイヤリティの支払いが必要となり、経営の自由度も制限されます。本部の規則に従う必要があり、独自の営業方針や商品開発が制限される場合もあります。また、契約期間中の解約が難しく、違約金が発生するケースもあるため、慎重な検討が必要です。本部の経営状態や方針変更の影響を受けやすい点にも注意が必要です。

フランチャイズのメリットについてはこちら記事でも詳しく解説しています。
気になる方はぜひご一読ください。
＞＞不動産フランチャイズのメリット・デメリットをご紹介！

独立資金はいくらかかるか

独立して事業を始める際には、さまざまな資金が必要となります。日本政策金融公庫の調査によると、開業時の平均費用は1,027万円です。以下では、独立時に必要となる主な資金について、「設備費用」「運転資金」「設立資金」「生活費」の4つの観点から詳しく解説していきます。

独立で失敗しないための重要ポイント

独立を成功に導くためには、適切な準備と計画が不可欠です。特に以下のようなポイントを押さえておく必要があります。

• 資金調達方法を考える
• 人脈は独立前に広げておく
• 事業は小規模からスタート

以降では、これらのポイントについて詳しく解説していきます。これらの点に注意を払うことで、独立後のさまざまなリスクを軽減することができるでしょう。

資金調達方法を考える

独立に必要な資金を準備する際、自己資金だけでは十分な金額を用意できないことが多くあります。全てを自己資金で賄おうとすると、準備に長い時間がかかったり、必要な時期に独立できなかったりする可能性があります。

そこで、日本政策金融公庫などの金融機関からの融資や、国・自治体が提供する補助金・助成金などを活用することで、より早期に必要な資金を調達することが可能です。これらの支援制度を上手に組み合わせることで、独立に向けた資金準備を効率的に進めることができます。

人脈は独立前に広げておく

独立後は、事業の運営や顧客対応など、さまざまな業務に追われることになり、新たな人脈づくりに時間を割くことが難しくなります。そのため、人脈形成は独立前から積極的に行っておくことが重要です。SNSを活用したり、異業種交流会や商工会議所のイベント、起業支援施設のセミナーなどに参加したりして、事業に関連する人々とのネットワークを広げておきましょう。こうした人脈は、独立後のビジネス展開において大きな支援となります。

事業は小規模からスタートさせる

独立する際は、最初から大規模な事業展開を目指すのではなく、小規模からスタートすることが賢明です。事業を大きく始めると、店舗や設備などの初期費用が膨らみ、事業が上手くいかなかった場合のリスクも大きくなります。そのため、小規模から始めることで、市場の反応を見ながら徐々に規模を拡大できます。

また、会社設立の手続きや費用負担を考えても、まずは個人事業主として始め、事業が軌道に乗ってから法人化を検討するなど、段階的なアプローチが推奨されます。

不動産業界で独立をお考えの方へ

不動産業界は、他の業種と比べて開業資金が比較的少なく済み、在庫を抱えるリスクも少ないという特徴があります。また、高収入を目指せる可能性が高く、自由度の高い働き方ができることから、独立開業に適した業界と言えます。

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まとめ

独立は、自由な働き方や高収入を実現できる可能性がある一方で、さまざまなリスクや課題も伴います。成功のためには、資金調達、人脈形成、事業規模の設定など、重要なポイントを押さえた計画的な準備が不可欠です。

特に資金面では、自己資金だけでなく様々な調達方法を検討し、人脈は独立前から積極的に形成しておくことが重要です。また、事業は小規模からスタートし、段階的に成長させていくアプローチがおすすめです。

これらの準備を怠ることなく、計画的に進めることで、独立後のさまざまなリスクを軽減し、成功への可能性を高めることができます。独立を考えている方は、まずはこれらのポイントを意識しながら、準備を進めていきましょう。