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不動産テックとは?
種類や導入メリット、成功のポイントを紹介
はじめに
業務効率化や競争力強化を図ることを目的として、「不動産テック」の導入を検討している経営者や営業担当者も多いのではないでしょうか。近年、不動産市場ではVR (Virtual Reality:仮想空間の中で体験を楽しむ技術)やAI (Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:さまざまなデバイスや機器がインターネットを通じて接続され、リアルタイムでデータを収集・分析する技術)といったテクノロジーの活用が加速化しており、簡単ステップで手軽に利用できるサービスも数多く登場しています。
そこで、今回は不動産テックの概要や主な領域、導入メリットなどの基礎知識に触れながら、不動産テックを活用するポイントについて詳しくまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
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不動産テックとは
まずは、不動産テックの意味や市場規模、成長性について知識を深めていきましょう。
「不動産×テクノロジー」のこと
不動産テックとは「不動産」と「テクノロジー」を組み合わせた造語であり、IT技術を活用して不動産業務の効率化や競争力強化、情報の透明化を図る取り組みのことを指します。近年は不動産売買や賃貸管理、物件検索といった多種多様な分野においてAIやIoT、ブロックチェーンなどの最新技術を導入する事例が急速に増えてきており、利便性の向上や取引のスムーズ化が実現されています。
不動産テックの市場規模と成長性
株式会社矢野経済研究所の調査によると、国内における消費者向けサービスのB to C領域と事業者向けサービスのB to B領域を合算した2022年度の不動産テック市場規模は9,402億円の推計で、前年度比21.1%増という高い成長率を記録しました。さらに、2030年度には市場規模が約2.5倍の2兆3,780億円に拡大すると予測されており、今後もさらなる成長が見込まれます。
不動産テックにおける12の領域
不動産テックは、主に以下の12の領域に分類されています。
- 不動産情報
- 仲介業務支援
- 賃貸管理業務支援
- AR・VR
- IoT
- ローン・保証
- リフォーム・リノベーション
- クラウドファンディング
- 価格の可視化・査定
- マッチング
- スペースシェアリング
- メディア・プラットフォーム
それぞれの領域においてどのようなサービスが提供され、どのように業務効率化や競争力強化、情報の透明化が実現されているのか、以下で詳しく見ていきましょう。
1. 不動産情報
不動産テックにおける「不動産情報」の領域には、物件に関連するデータを集約し、分析するサービスが含まれます。具体的には登記情報や土地評価、地域特性、ハザードマップなどの情報がデータベース化されており、ユーザーは必要な情報を迅速に収集できるほか、市場動向の把握や将来の予測がしやすく、意思決定に大きく役立ちます。
2. 仲介業務支援
不動産テックにおける「仲介業務支援」の領域は、不動産売買や賃貸取引を効率化するためのツールやプラットフォームのことを指します。たとえばオンラインでの内覧予約システムや顧客管理システム、電子契約ツール、VRを活用した内覧体験サービスなどが該当し、営業活動の効率化を目指す経営者・営業担当者から大きな支持を集めています。
3. 賃貸管理業務支援
「賃貸管理業務支援」も不動産テックにおける主要領域のひとつで、物件管理業務の効率化に大きく役立ちます。具体的には、以下の賃貸管理における業務負担を軽減させることが可能です。
- 情報管理:入居者からの問い合わせやクレームの管理、物件情報を一元管理できる
- 家賃管理:家賃の入金状況の管理や滞納時の督促業務などをシステム化し、効率良く行える
- 契約管理:顧客の契約情報や物件オーナー契約情報を一元管理できる
- メンテナンス管理:各種工事やメンテナンスに関する情報の管理を行い、業務フローの透明化を図れる
4. AR・VR
現実の環境にデジタル情報を重ねることができる「AR」や、ユーザーを仮想の環境に没入させる「VR」も、不動産テックの重要な領域として注目されています。
たとえばAR技術によって家具やインテリアを仮想的に配置し、入居者が実際の生活をイメージしやすくすることは、空室対策として大変有効です。また、VRによる内見サービスを導入すれば現地案内の負担を軽減できるほか、遠方からの購入希望者も獲得しやすくなります。
5. IoT
さまざまなデバイスやセンサーがインターネットに接続され、リアルタイムでデータを収集・分析する「IoT」は、不動産業界においても活用が進んでいます。たとえばIoTデバイスの利用によって入居者の設備使用状況を把握し、適切なメンテナンススケジュールを立てられたり、IoTセンサーを導入することで早期に異常を察知し、故障前に修理対応ができたりと、物件管理の効率化やコスト削減を目指すことが可能です。
6. ローン・保証
不動産テックにおける「ローン・保証」の領域は、効率的な資金調達を目指す経営者にとって非常に重要な分野です。たとえばリアルタイムでの金利比較やシミュレーションを通じて最適なローンを選ぶことができるほか、オンラインでの申請や審査によってスピーディーに融資を受けられます。
また、AIによる入居者の信用評価を活用した保証サービスを導入すれば、リスクの高い契約を事前に回避でき、家賃滞納リスクの軽減を目指せます。
7. リフォーム・リノベーション
「リフォーム・リノベーション」の領域は、特に施工の効率化やコスト削減、物件価値の向上に貢献します。たとえばオンラインプラットフォームを通じてリフォーム業者と直接交渉することで仲介手数料を削減できたり、プロジェクト管理ツールを用いることで工程管理や進行状況の確認が容易になり、無駄なコストを抑制できたりします。
また、リフォーム業者とのマッチングを容易に行えることも魅力のひとつで、さまざまな角度から特徴を比較したうえで自社に合った業者を手軽に選ぶことが可能です。
8. クラウドファンディング
インターネットを介して資金を調達したい人(資金調達者)と出資したい人(出資者)を結びつけるサービスである「クラウドファンディング」も、資金調達に悩む経営者にとって重要な不動産テック領域です。このプラットフォームを活用することによって、起業したばかりで実績がなく、金融機関からの融資を断られた経営者も資金を調達することができます。
また、直接的な営業活動を行うことなく、自社の不動産プロジェクトに興味を持つ投資家を効率的に見つけられることも注目したいポイントです。
9. 価格の可視化・査定
不動産テックにおける「価格の可視化・査定」の領域は、特に物件の適正価格を把握し、収益の最大化を図るために活用されています。たとえば価格査定ツールを導入すれば競合物件との比較が容易になり、適切な価格戦略を立てられるほか、AIやビッグデータを活用した査定システムにおいては物件の市場価値をリアルタイムで分析し、適正な賃料や売却価格を設定することが可能です。
10. マッチング
不動産テックにおける「マッチング」の領域には、賃貸物件オーナーと入居者、不動産購入者と売却者など、関係者同士をつなぐプラットフォームが該当します。AIを活用したマッチングシステムにより、入居希望者のニーズに合った物件を迅速に紹介でき、空室期間を短縮できる点が大きな魅力です。
また、データ分析を活用することによって適切なターゲット層に物件情報を届けることができ、成約率の向上が期待できます。
11. スペースシェアリング
不動産テックの領域である「スペースシェアリング」は、不動産や空きスペースを他者と共有するサービスのことを指します。余剰スペースを有効活用するための新たなビジネスモデルとして注目を集めており、より効率的に収益の最大化を目指すことが可能です。
12. メディア・プラットフォーム
「メディア・プラットフォーム」の領域は、不動産テックにおいて情報発信や市場分析に関わる重要な分野です。具体的には不動産情報サイトや物件を紹介するポータルサイト、地域の市場動向に関する情報を提供するメディア、コミュニティ形成を目的としたオンラインプラットフォームなどが該当し、物件の認知度向上や収益の最大化に役立ちます。
不動産テックを導入するメリット
不動産テックを導入するメリットは主に下記の5点です。
- 業務効率化とコスト削減
- 取引の透明性向上
- 顧客満足度の向上
- 市場分析の強化
- 投資の多様化と不動産利用の拡大
それぞれの魅力について、以下で詳しく解説します。
1. 業務効率化とコスト削減
電子契約やAIを活用した物件管理システムを導入することで、ペーパーレス化が進み、作業時間や管理コストを抑えることが可能です。また、AIによる価格査定ツールを活用すればより正確な価格予測が可能になり、営業の負担を軽減できるでしょう。
2. 取引の透明性向上
不動産テックを導入することでデータの可視化が進み、価格や取引履歴の透明性が向上することもメリットのひとつです。たとえばブロックチェーン技術を活用すると不動産契約の履歴が改ざんできない形で記録され、信頼性の高い取引が実現します。
3. 顧客満足度の向上
不動産テックを導入すると、たとえばVRやARを活用したバーチャル内覧によって顧客は現地に行かなくても物件を詳細に確認できるため、内覧の手間が軽減されます。また、スマートインターホンやIoTを取り入れた物件では生活の利便性が向上し、住環境の快適性が高まるなど、顧客満足度の向上につながることも不動産テックを導入する大きなメリットです。
4. 市場分析の強化
市場の需要予測や価格動向の把握を容易に行えることも、不動産テックを活用する魅力のひとつです。これにより、経営者や営業担当者はより適切なタイミングで売買を行う戦略を立てられ、競争力の向上が期待できます。
5. 投資の多様化と不動産利用の拡大
クラウドファンディング型不動産投資を活用することで、個人投資家も不動産市場に参入しやすくなり、市場の流動性が向上します。それによって不動産投資がより身近な資産運用法となれば、業界全体の活性化につながるでしょう。
不動産テックの導入を成功させるポイント
不動産テックを導入し、業務の効率化やサービス向上を実現するためには適切な戦略と準備が不可欠です。ここでは、不動産テックの導入を成功させるコツを6つ挙げ、それぞれのポイントについて詳しくご紹介します。
1. 目的とROIを明確化する
導入する不動産テックの種類を決める前に「何を改善したいのか」を明確にし、導入の目的に応じて最適なツールを選定することが大切です。また、ROI(投資対効果)が明確でないと、期待した成果が得られずコストばかりが膨らむ可能性があるため、事前に定量的な目標を設定し、それをもとに成果を測定する必要があります。
2. 業務との適合性を確認する
不動産テックのシステムを導入するにあたり、自社の業務フローに適合するかどうかを慎重に検討するとよいでしょう。既存の業務プロセスを見直し、テクノロジーがどの部分を補完・改善できるのかを把握することで、無駄のない導入が可能となります。
3. 導入体制を整える
不動産テックを効果的に活用するためには、従業員がシステムを適切に使いこなせなければなりません。研修やマニュアルの整備を行い、スムーズに技術を導入できる環境を整えることが重要です。
4. セキュリティ対策を強化する
デジタル化に伴い、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクが発生する可能性があります。特に、不動産契約の個人情報を扱う場合は強固なセキュリティ対策を導入し、安全性を確保することが求められるでしょう。
5. 選定システムが法規制を遵守しているか確認する
不動産業界には、電子署名法やIT書面一括法などの電子契約に関する法規制に加え、個人情報保護法などの厳しいルールがあります。導入前に法務担当者や専門家と連携し、選定システムが法規制を遵守しているかを確認することが大切です。
6. 定期的な見直しを行う
不動産テックの技術は日々進化しているほか、市場も変化するため、定期的な見直しが必要です。具体的には、導入時に設定したKPI(Key Performance Indicator:企業や組織の目標を達成するために行う具体的な行動指標)をもとに業務の効率化や顧客の反応などを数値で把握できる体制を整えると、改善が必要な部分が自然と見えてきます。
また、顧客や従業員からのフィードバックも参考になるため、アンケート調査を定期的に実施するとよいでしょう。そこで得られた意見をもとに、システムや業務プロセスの改善点を見つけ出します。
さらに、不動産テックの最新トレンドや最先端技術をしっかりと追い続けられるよう、業界の研修やセミナーに参加することもおすすめです。最新のテクノロジーを取り入れる機会を逃さず、持続的な成長を目指せます。
不動産テックをスムーズに導入して成功したい方へ
不動産テックの導入・運用・管理をスムーズに行いたい場合は、フランチャイズに加盟するのもひとつの方法です。本部が整備している不動産テックを活用することで、業務の効率化や顧客満足度の向上、市場分析の強化といった目標の早期達成を目指せます。
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まとめ
IT技術を活用し、不動産業務の効率化や情報の透明化を図る取り組みとして注目を集める「不動産テック」。テクノロジーの力を積極的に取り入れ、自社の業務フローに定着させることができれば、将来的に直面することが予想される人手不足に対しても柔軟に対応できるでしょう。
ただし、一口に不動産テックといってもさまざまな領域があり、フィットするシステムは自社が抱える課題やニーズ、勤務スタイルなどによって大きく異なります。また、ROI(投資対効果)が明確でないと期待した成果が得られなかったり、導入体制やセキュリティ体制を事前に整えておく必要があったりと注意点もたくさんあるため、不安な場合はフランチャイズに加盟し、本部によるサポートを受けながら活用するとよいでしょう。
ぜひ不動産テックを通じて社内のデジタル化を進め、効率的な運営を目指してみてはいかがでしょうか。