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不動産仲介のビジネスモデル!
最新情報から開業に役立つ情報
はじめに
不動産仲介業の経験者が新規に業界に参入することは比較的容易ですが、
業界未経験者が新規に参入するのは特別な知識を必要とするのでなかなか容易ではありません。
業界未経験者が不動産仲介業に参入して成功するには、事前に不動産仲介業のビジネスモデルを理解し戦略を練ってから臨むことが大切です。
この記事では、不動産仲介業のビジネスモデル、不動産仲介業を始める際に押さえておくべきポイントなどを解説します。
不動産仲介業に興味があるものの、業界未経験者で何をどうすればいいか分からないという人は参考にしてください。
不動産仲介業のビジネスモデル
不動産仲介業と一口に言っても、不動産仲介業には複数のビジネスモデルがあります。
そのため、これまでに不動産仲介業に携わったことがない業界未経験者が不動産仲介業に参入する場合には、不動産仲介業ビジネスの仕組み、
不動産売買仲介と不動産賃貸仲介の違いを把握することが大切です。
不動産仲介業ビジネスの仕組み、不動産売買仲介と不動産賃貸仲介の違いを詳しく説明していきます。
不動産仲介業ビジネスの仕組み
不動産の賃貸や売買では、内覧の立ち会いや引き渡し、契約書の作成といった面倒な手続きや専門的な知識を必要とする場面がいくつかあります。
そのため、面倒な手間を省きたい、トラブルを未然に回避したいという理由で、お金を支払ってでも専門家のサポートを受けたいと考えている人は多いと思います。
不動産仲介業ビジネスとは、上記のような面倒な手続きや専門的な知識を必要とする契約などをサポートする代わりに仲介手数料を受け取るビジネスの仕組みです。
不動産仲介業ビジネスは、不動産の適正価格を算出する査定、立ち会いや引き渡しといった比較的業務内容が複雑な売買仲介、契約書作成と立ち会いといった業務内容がシンプルな賃貸仲介の2種類あります。
不動産売買仲介のビジネスモデル
不動産売買仲介の場合、売買契約書の作成や契約の締結、内覧の立ち会いなどは雛形やマニュアルに基づいて取り組めばいいだけなのでそこまで大きな負担ではありません。
賃貸仲介と大きく違っているのは、不動産の適正価格を算出する査定と流動性が賃貸と比べて低い中で買主や売主を探さなくてはならないという点です。
大手不動産会社は、顧客のリストを持っているケースが多く、スムーズに売買仲介を完了させやすいですが、流動性が低いので大手不動産会社であっても顧客の中で契約が成立するとは限りません。
また、中小の不動産会社は、そもそも顧客を抱えていないケースが多く、基本的には1から買主を探すことになります。
そのため、国土交通省の運営するレインズ(REINS)と呼ばれる不動産会社のみが利用できる物件情報サイトや不動産ポータルサイトなどを活用しながら売買契約を成立へと導いていきます。
売買契約を成立させた場合、不動産会社は依頼主に仲介手数料を請求できますが、自由に設定できるわけではありません。宅地建物取引業法に以下のような上限が定められており、その範囲内で請求します。
売買価格が200万円以下の部分 | 物件価格の5%+消費税 |
売買価格が200万円超から400万円以下の部分 | 物件価格の4%+消費税 |
売買価格が400万円超の部分 | 物件価格の3%+消費税 |
上記は一方に請求できる仲介手数料の上限で、買主と売主の両方を仲介した場合は上記の2倍の仲介手数料を得られます。
しかし、両方を仲介できるケースは少なく、レインズや不動産ポータルサイトを利用した場合は、一方だけの仲介となるのが一般的です。
また、あくまでも上記の仲介手数料は上限で、依頼主から値下げ交渉される可能性があるということを覚えておきましょう。
不動産賃貸仲介のビジネスモデル
不動産賃貸仲介の場合は、流動性が売買と比べて高い中で借主や貸主を探す、査定も必要としないため、売買仲介より負担は小さいです。
そのため、契約が成立した場合の報酬は不動産売買仲介と比べて少ないという特徴があります。
不動産賃貸の仲介手数料は「賃料の1ヶ月分以内+消費税」と宅地建物取引業法に上限が定められています。
貸主と借主の両方を仲介した場合は、売買仲介のように双方から1ヶ月分ずつではなく半月分ずつである点、依頼者の承諾があった場合はどちらか一方から1ヶ月分以内を受け取れるという点が異なるので要注意です。
借主は賃貸借契約の締結時に敷金や礼金などの費用を貸主に支払うことがありますが、仲介手数料の算出には敷金や礼金は使用しません。
あくまでも家賃のみで算出します。
貸主の仲介を手掛けた場合は、そのまま家賃徴収や入退去の管理などを行う賃貸管理会社として管理委託費を毎月得られる可能性があります。
不動産仲介業で開業するなら売買と賃貸どちらが良い?
不動産仲介ビジネスの2つのビジネスモデル、不動産売買仲介と不動産賃貸仲介の違いが分かったところで、不動産仲介業を開業するならどちらにすれば良いのか分からず悩んでいる人も多いと思います。
不動産売買仲介で開業する場合、不動産賃貸仲介で開業する場合におけるそれぞれのメリット、デメリット、どんな人に向いているのかを詳しく解説していきます。
不動産売買仲介で開業する場合
不動産売買仲介は先述の通り不動産賃貸と比べて業務内容が複雑なので、業界未経験者がすぐに結果を出す、事業を軌道に乗せることはなかなか容易ではありません。
また、流動性が高くはないため、少ないチャンスを活かさなければ利益がほとんど得られないというデメリットが挙げられます。
一方で、1回の取引で得る仲介手数料が百万円を超えることも珍しくなく、1年に数回売買仲介を成立させればサラリーマンの年収を軽く超える可能性があるという点が大きなメリットです。
そのため、起業して大きな収益を目指したいという人は不動産売買仲介が向いていると言えるでしょう。
不動産賃貸仲介で開業する場合
不動産賃貸仲介は不動産賃貸と比べて業務内容がシンプルで、業界未経験者でも取り組みやすいです。
また、売買仲介と比べると流動性が高いので比較的頻繁に依頼がある、管理の依頼も受けることができれば継続的に安定した収益を得られるというメリットがあります。
一方で、1回の取引で得られる利益が少ないため、売買仲介のようにまとまった大きな利益が期待できない点がデメリットです。
そのため、負担をあまりかけずに起業したい、賃貸管理もいくつか確保して継続的・安定的な収益を得たいと考えている人に向いているでしょう。
どちらで開業する方が良い?
不動産売買仲介、不動産賃貸仲介ともにメリットとデメリットがあるので一概にどちらを選んだ方が良いとは言い切れません。
しかし、業界未経験者には不動産売買仲介よりも不動産賃貸仲介がおすすめというのが一般的な見解です。
その理由は、大きな収益を目指したい場合は不動産売買仲介がおすすめですが、業界未経験者にはハードルが高すぎるためです。
そのため、業界未経験者には、業務内容がシンプルでうまくいけば継続的・安定的な収益が期待できる不動産賃貸仲介が良いでしょう。
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不動産仲介業の市場動向
不動産仲介業での起業を検討している人の中には、市場動向がどんな状態なのかが気になっている人も多いと思います。
法務省公表の「法務統計月報」によると、2020年の全国の土地取引件数は127万件(前年比2.7%減少)という結果でした。
バブルの崩壊後は長期的な下落が続いていた不動産市場も、2012年秋以降は増加基調でしたが、2018年から頭打ち状態にあります。
東日本不動産流通機構の調査によると、2020年の首都圏中古マンションの成約件数は3万5,825件(前年比6%減少)と2年ぶりに前年を下回った一方、中古戸建ては1万3,348件(2.4%増加)と2年連続で増加し、過去最高を更新。
中古マンションの成約価格は1平方メートルあたり55万1,700円と8年連続で上昇した一方で、中古戸建ては1戸あたり3,110万円と2年連続で下落しました。
取引件数はピーク時と比べると大幅に減少しているため、待っていても十分収益が期待できるという状況ではありません。
生き残るための戦略を練って臨むことが求められていると言えるでしょう。
ライバルが多い不動産仲介市場では差別化が重要
不動産仲介業は人口増加に伴って不動産取引が拡大していた頃は、新規に開業しても需要が期待できました。
しかし、昨今は人口減少によって不動産取引が減少傾向にあるため、新規参入者が限られた需要を確保する既存の賃貸物件の管理を奪い取ることはなかなか容易ではありません。
新規参入者が不動産仲介業で生き残っていくためには、比較的古い考えが定着している不動産仲介業において差別化を図っていくことが重要です。
不動産仲介業における主な差別化として、以下の2つが挙げられます。
- 不動産テックの活用
- 付加価値を高める
それぞれの差別化を詳しく説明していきます。
不動産テックの活用
不動産テックとは、不動産とテクノロジーを融合させたサービスです。
各業界は積極的にITを取り入れながら事業を拡大させていますが、不動産業界はITを積極的に取り入れているところが少なく、昔ながらのアナログ戦略が一般的です。
そのため、そのような状況下で不動産テックを積極的に活用すれば、差別化による需要確保が期待できます。
昨今は当たり前になりましたが、不動産ポータルサイトも不動産テックの1つです。
不動産ポータルサイトの登場によって、インターネットさえつながれば必要な情報が瞬時に手に入るように利ました。
他にも、人ではなくAIによって手軽に査定が受けられるサイトやビックデータ解析による資料を賃貸や売買で提供できるようになりました。
昔のように不動産会社の店舗を訪れて物件情報を入手するという機会が大幅に減少していることを考えると、利用者の利便性を高めるサービスを拡充することが需要獲得への近道と言えるでしょう。
不動産テックについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
>>不動産テックとは?誕生の背景から最新事例まで徹底解説!
付加価値を高める
付加価値を高めることも差別化を図る上で重要です。
スマホやパソコンで誰でも簡単に物件情報(売買・賃貸)が手に入るようになった昨今では、各不動産会社の差異がほとんどなく、どこに依頼しても結果は大きく変わらないと考えている人も多いと思います。
しかし、そこに成功へのヒントが隠れています。不動産会社の中には、問い合わせがあった場合のみ対応し、自ら情報を発信しない以前と変わらないビジネススタイルを貫く不動産会社も珍しくありません。
そこで、積極的にTwitterやInstagramなどのSNSを活用した不動産売買、不動産賃貸に関連する情報発信に力を入れれば、スマホユーザーの目に触れる機会が増えるため、問い合わせ増加の効果が期待できます。
以前のビジネスモデルでは時代の変化に対応できません。
時代の変化に合わせながら利用者のニーズに応じた対応を心がけて付加価値を高めていくことが成功の近道と言えるでしょう。
不動産仲介業の新しいビジネスモデル
時代の変化とともに利用者のニーズも変化しているため、不動産仲介業をこれから始める人はこれまでの古いビジネスモデルではなく新しいビジネスモデルを積極的に取り入れていく必要があります。
新しいビジネスモデルとして、以下の2つが挙げられます。
- 買い取り
- 相続ビジネス
それぞれのビジネスモデルを詳しく解説していきます。
新しいビジネスモデル ①買い取り
不動産売買については、これまで売買契約を成約に導く仲介により仲介手数料を得るというビジネスモデルが一般的でした。
しかし、昨今は買い取りというビジネスモデルが注目されています。
買い取りとは、売主から物件を買い取ってリフォームやリノベーションなどで手を加えてから転売するまたは賃貸することによって差益や賃料収入を得るビジネススタイルです。
何らかの理由でお金が欲しいという売主には、リースバックやリバースモーゲージという選択肢もあります。
リースバックとは売却した不動産に賃料を支払って物件に住み続けること、リバースモーゲージとは不動産を担保にお金を借りて死亡時に売却して融資を完済するという仕組みです。
リバースモーゲージは融資に該当するので不動産会社の場合は不動産取引にあたるリースバックを選択すれば売主の幅広いニーズに応えられます。
仲介以外のビジネスモデルを導入することは差別化による需要確保につながる一方で、
不動産会社は買い取り資金や修繕資金などの費用負担が重くのしかかります。そこで登場するのが小規模不動産特定共同事業です。
小規模不動産特定共同事業とは、不動産証券化手法の1つで、投資家から集めた出資金を買い取り資金や修繕資金に充当し、家賃収入を出資割合に応じて投資家に分配します。
不動産会社は費用負担を軽減できる、自身が管理することにより継続的・安定的な管理報酬を得られるため、新しいビジネスモデルとしてこちらも注目されています。
新しいビジネスモデル ②相続ビジネス
相続ビジネスとは、人口に占める65歳以上の割合が30%超の高齢化が進行中の日本における相続問題の解決とビジネスを融合させたサービスです。
相続財産は2030年に1,000兆円に達する見込みで、41.9%は不動産で占められると考えられています。
相続に関する相続税や後見、家族信託、遺言書、介護施設探し、不動産売買といった漠然とした不安を抱える人にワンストップで専門家が対応し、司法書士や弁護士、税理士といった専門家との橋渡しをします。
その結果、人口減少で需要が低下しつつある不動産仲介において新たな不動産売買や賃貸の仲介、賃貸管理の獲得につなげられるでしょう。
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まとめ
不動産仲介業は大きく不動産売買と不動産賃貸に分けられます。
不動産売買は業務内容が複雑であるものの、大きなまとまった利益が期待できます。
一方、不動産賃貸は業務内容がシンプルかつ管理も獲得できれば継続的・安定的な利益が期待できるものの、利益が少ないという点がデメリットです。
両者ともにメリットとデメリットを伴いますが、業界未経験者にとっては不動産売買のハードルが高いため、
業務内容がシンプルで始めやすい不動産賃貸を選択することをおすすめします。
しかし、不動産賃貸だからと言って簡単に経営を軌道に乗せられるわけではありません。
時代の変化とともに依頼者のニーズも変化しているため、新しいビジネスモデルを積極的に取り入れながら経営に臨みましょう。