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市場規模は9兆円?
空き家活用ビジネスの基本と成功事例をご紹介
はじめに
不動産仲介業者の中には、相続した空き家の扱いについての相談を受けたものの、一般的な不動産の相談とは異なるため、どのように対処すべきか悩んでいる方も多いことでしょう。
この記事では、不動産市場の空き家の状況、空き家の問題点、空き家の活用方法などを解説します。相続した空き家に関する相談は今後も増える可能性が高いため、収益を拡大させたい方はぜひご参照ください。
日本の住宅地は、空き家だらけ?
少子高齢化が進行する日本では、空き家問題が深刻化しています。不動産仲介業者は今後益々空き家に関する相談を受ける機会が増える可能性があるため、空き家がなぜ増えているのかという背景を把握しておくことが大切です。
日本で空き家が増えている理由と、地域による違いについてみていきましょう。
日本で空き家が増えている理由
日本は出生数の多かった団塊の世代の高齢化が進み、超高齢化社会を迎えています。身内が近くに住んでおらず、介護が必要になったことを理由に老人ホームに入所し、亡くなったことで生前の住まいが空き家になるケースも増えました。
また、少子化で人口が減少しており、全体的な不動産需要が低下しています。さらに、日本は新築需要が高く、欧米諸国のように中古住宅の売買が活発ではないため、空き家になった中古住宅が市場に溢れています。
都心部と地方では状況がやや異なる
全国的に空き家問題が深刻化しているわけではありません。東京や横浜などの大都市では、周辺からの人口の流入が続いており、不動産の需要が高い水準を維持しています。そのため、今のところ都心部は空き家問題の影響をほとんど受けていないといえるでしょう。
地方圏は少子化による人口の減少に加えて、都心部への流出も影響して不動産の需要が年々減少しています。人口の50%以上を65歳以上が占める限界集落もあり、過疎化が深刻化しています。
親が老人ホームに入所し、お子さんは離れた場所に住んでいて戻ってこないといったように、地方圏では今後益々空き家の増加が深刻化するでしょう。
空き家が増えることで生じる問題
適切に管理されている空き家であれば特に問題はありませんが、空き家を相続した相続人が遠く離れた場所に住んでいる場合は、適切な管理が行われない可能性があります。また、維持コストがかかるという理由から、適切な管理が行われていない空き家も増えています。
そのような空き家では、以下のような問題が生じるので注意が必要です。
- 景観の悪化
- 犯罪の温床となる
- 住宅の価値が下がる
- 災害時に倒壊の恐れ
景観の悪化
築年数の経過とともに建物が劣化します。特に、空き家の場合、空気が入れ替わらないので劣化の進行が早く、腐朽や破損が目立ちやすくなります。
外観がボロボロの家が建っているほか、雑草が生い茂っている状況では、景観が良くありません。近隣の住民から苦情がでるだけでなく、売却したくても印象が悪く、なかなか買い手が見つからなくなるので注意が必要です。
犯罪の温床となる
適切な管理が実施されていない空き家は、外観から空き家であることが周囲に気づかれてしまいます。その結果、犯罪者やホームレスなどが侵入し、犯罪の拠点や寝床とする可能性もでてきます。
また、空き家を狙った放火事件も少なくありません。空き家が犯罪に巻き込まれないだけでなく、近隣住民に迷惑をかけないようにするためにも、適切な管理は必要不可欠といえるでしょう。
住宅の価値が下がる
経年劣化の進行による悪影響は、景観が悪くなることだけではありません。管理が行き届いている空き家とは異なり、劣化が進行している空き家は購入後のリフォーム費用が高額になるので売却時に不利です。
購入希望者がなかなか見つからないだけでなく、同じ築年数の物件と比較して住宅の価値が低くなる可能性が高い点に注意してください。
災害時に倒壊の恐れ
劣化が進行している空き家は耐久力が低下しており、自然災害による影響を大きく受ける可能性があります。例えば、台風で屋根瓦が飛んで周辺の家屋や通行人に危害が及ぶと、損害賠償を請求されることになります。
また、地震で建物が損傷を受けた場合は損傷を受けた部分を修繕するための費用が発生し、倒壊した場合は建物部分の価値を失うことになるので注意が必要です。
空き家活用は社会的に求められているビジネス
上記の通り、空き家を放置することにメリットはありません。空き家を活用することは、空き家問題を解決に導くことになります。
不動産仲介業者は、不動産の専門家なのでその役割を担っている立場といえます。空き家問題を解決に導けば社会問題の解決に寄与できるだけでなく、そこから売買につながれば収益拡大も期待できるでしょう。
空き家活用ビジネスの市場規模はどれくらい?
空き家問題を解決に導けば収益拡大が期待できると言いましたが、空き家活用ビジネスの市場規模の大きさが気になる方も多いのではないでしょうか。
リフォーム産業新聞社が2016年に発表した推計では、空き家の潜在市場規模は9兆601億円とのことでした。潜在市場規模の内訳は、以下の通りです。
- 流通(売却):6兆4,069億円
- リフォーム:1兆717億円
- 建て替え:9,284億円
- 賃貸:2,208億円
- 管理委託:163億円
2015年に深刻化する空き家問題を解決へと導くために、政府は空き家対策特別措置法を施行しました。通常の住宅用地は、一定要件を満たしていれば固定資産税や都市計画税の軽減措置を受けられます。しかし、適切な管理が行われていないと特定空き家に指定され、軽減措置の適用を取り消されることになりました。
また、野村総合研究所が2016年に発表した推計によると、2033年には空き家の数が2013年の約820万戸から約2,170万戸に倍増し、空き家率も13.5%から30.4%に上昇するとのことでした。
政府の空き家対策の影響および空き家が増加することを考えると、今後益々空き家活用ビジネスの市場規模は拡大すると予想されるでしょう。
空き家活用のビジネスモデル7選
空き家活用のビジネスモデルはいくつかあります。空き家の条件によって最適なビジネスモデルが違うため、どのようなビジネスモデルがあるのか、各ビジネスモデルの違いを把握しておくことが大切です。
空き家活用のビジネスモデルには、以下の7つが挙げられます。
- 賃貸用住宅として貸し出す
- 民泊として貸し出す
- サテライトオフィスにする
- サブスク住宅に登録する
- セーフティネット住宅
- 収納スペースにする
- 空き家を解体して駐車場にする
賃貸用住居として貸し出す
空き家を賃貸用住居として貸し出すことで、家賃収入を得られるようになります。賃貸経営は収益性が高く、安定した家賃収入が期待できます。
戸建ての入居希望者はお子さんのいる家庭が多く、一度入居すると契約期間が長期に渡るケースが多いです。そのため、一度入居すれば安定した家賃収入が期待できますが、逆に退去すると移動が少なく埋まりにくいほか、劣化状況によっては最初に多額の修繕費用がかかる点に注意が必要です。
民泊として貸し出す
民泊とは、年間180日以内であれば届出することによって宿泊施設として提供できる仕組みです。民泊には、家主不在型と家主居住型の2種類あります。
空き家は家主が不在なので、家主不在型の民泊となります。家主不在型の民泊を開始する際は、住宅宿泊管理業者に管理を委託しなくてはなりません。
日本を訪れるにあたり、日本の住居に滞在したいという一定数の需要は期待できますが、賃貸用住居のように安定した収入が得られるとは限らない点に注意が必要です。
サテライトオフィスにする
サテライトオフィスとは、本社を中心に衛星のように周りに配置されたオフィスのことです。IT企業の中には本社周辺の空き家をサテライトオフィスとして借りるケースが見られるようになりました。
居住目的で借りるのではなく、オフィスとして利用する点が特殊ですが、企業ニーズとマッチすれば安定した賃料収入が期待できます。
しかし、需要が限られるほか、ビジネス利用なので高速インターネットが必須であるといったように、一定条件を満たしていないと選択できない点に注意が必要です。
サブスク住宅に登録する
サブスク住宅とは、全国に点在している空き家に定額で居住できるサービスです。ライフスタイルに合わせて気軽に移住・利用できるため、登録する利用者・住居が増えています。
気軽に登録できる点がサブスク住宅の魅力ですが、劣化が進行している場合は修繕が必要であるほか、テレビやベッド、洗濯機といった家具や家電を設置しなければなりません。手間と費用がかかる点に注意してください。
セーフティネット住宅
セーフティネット住宅とは、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅です。住宅確保要配慮者とは、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に定められている方で、高齢者や被災者、低額所得者、日本国籍を持たない方などです。
他の賃貸物件が入居を断るような方が対象となるため、ある程度の需要が期待できますが、耐震基準を満たす必要があるといったように、一定要件を満たさなくてはならない点に注意が必要です。
収納スペースにする
収納スペースとは、空き家の空間を利用して荷物を預かることです。居住用としてではなく、シェア物置として空き家を活用します。
収納スペースを増やして自宅にスペースを作りたいと考えている方も多いため、一定の需要が期待できます。初期費用を抑えられ、立地が悪くても始められますが、賃貸用住居のように安定した収入を確保できるとは限らないので市場調査をしっかりと行いましょう。
空き家を解体して駐車場にする
空き家を解体して駐車場として活用するのも選択肢の1つです。駐車場は少ない初期費用で始められるため、気軽に取り組みやすい点がメリットです。
ただし、駐車場の収益性は決して高くはありません。また、空き家を解体したことで、住宅用地に適用される固定資産税や都市計画税の優遇を受けられなくなる点に注意が必要です。
空き家ビジネスを成功させるコツ
空き家ビジネスを始めても成功するとは限りません。成功確率を少しでも高めるためには、以下のポイントを押さえた上で、空き家ビジネスを開始することが大切です。
- ニーズに合ったビジネスを選択
- 空き家ビジネスに関する補助金を活用
ニーズに合ったビジネスを選択
空き家のビジネスモデルを7つ紹介しましたが、どれを選択しても良いというわけではありません。空き家の立地や状況などによって最適な選択肢が異なるため、ニーズに合ったビジネスを選択することが大切です。
初期費用が安ければ、どのビジネスを選択してもリスクが低いと考えているかもしれませんが、取り組みやすいビジネスでも需要がなければ意味がありません。
地域のニーズをしっかり把握し、初期費用やランニングコスト、収入などをシミュレーションしながら最適なビジネスを選択しましょう。
空き家ビジネスに関する補助金を活用
超高齢化社会の日本では、今後益々空き家問題が深刻化することが予想されており、空き家ビジネスに対して補助を行うケースも見られるようになりました。
例えば、低所得者や災害時に避難支援が必要な高齢者世帯の入居を受け入れた賃貸住宅には、月最大4万円が支給される家賃低廉化支援制度があります。他にも、低所得世帯の入居を想定した改修を行うことによって、1戸につき最大100万円が支給される建物改修工事に対する補助金などもあります。
補助金を活用できれば、初期費用を抑えられるので空き家ビジネスを有利に進めることが可能です。補助金の内容は自治体によって違うため、リスクを抑えながら空き家ビジネスを成功に導くためにも、事前に補助金の内容を確認しておきましょう。
不動産仲介業でもトレンド「相続ビジネス」
空き家を相続する方が増えることで、不動産仲介業者に空き家の扱いについて相談に訪れる方が増えることが予想されます。しかし、不動産仲介業者が知識を蓄えていないと、せっかくの案件受注を逃しかねません。
空き家の相続は、近年のトレンドです。相続や空き家に関する知識をしっかり蓄え、相続についても相談できる不動産仲介業者という立場を確立できれば、最終的に売却や運用などといった案件受注につながるため、収益の拡大が期待できるでしょう。
LIXIL不動産ショップでは「相続サロン」というブランドを展開。消費者と士業などの専門家の橋渡しをすることで接点を持ち、新たな不動産、賃貸管理の獲得につなげるビジネスモデルを構築しています。収益を拡大させたいとお考えの不動産経営者様はぜひご相談ください。
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まとめ
超高齢化社会で空き家問題が深刻化している昨今、空き家を活用するビジネスが注目を集めています。しかし、空き家ビジネスを始めたからといって、成功するとは限りません。成功確率を高めるには、空き家の立地や状況などを踏まえながら、最適なビジネスモデルを選択することが大切です。
また、自治体によっては空き家ビジネスに対する補助金を提供しています。初期費用を抑えることでリスクを軽減できるため、空き家ビジネスを始める前にどのような補助金があるかを確認しておきましょう。
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