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マンション相続の4つの方法。
必要な費用や税金の事についても解説します
はじめに
親から相続したマンションの扱いについて相談を受けている街の不動産屋の中には、相続に関する知識が不十分で対応に困っている方もいることでしょう。不動産相続は、今後新たなビジネスチャンスとなる可能性が高いため、知識を身につけることはとても重要です。
この記事では、マンション相続の現状、大まかな流れ、手続きなどについて解説します。不動産相続に関する知識を身につけ、業績アップを目指したい街の不動産屋さんはぜひご参照ください。
近年増加するマンション相続者
日本は少子高齢化によって、人口に占める高齢者の割合が年々高くなっています。特に、ベビーブームで人口が増加した団塊の世代の高齢化によって、高齢化の進行が加速しています。その結果、主に都心部では親世代の高齢化により、分譲マンションを相続する方が増えました。
親が介護施設に入所して空き家になるほか、相続した不動産をそのまま放置して空き家になったというケースも増えており、空き家問題が深刻化しています。近年社会問題化している空き家問題は、戸建住宅だけではなく分譲マンションでも深刻化しており、相続後の不動産の扱いが悩ましい問題になっています。
「空き家」に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>市場規模は9兆円?空き家活用ビジネスの基本と成功事例をご紹介
マンション相続までの大まかな流れ
トラブルを回避しながらマンションの相続を速やかに行うには、マンション相続の流れを把握しておくことが大切です。マンション相続の大まかな流れは、以下の通りです。
- 1.遺言書の確認
- 2.相続財産の確認と相続人の決定
- 3.遺産分割協議と相続内容を決める
遺言書の確認
遺言書とは、被相続人(亡くなった方)が相続方法について生前にまとめた書類です。遺言書がある場合は、原則遺言書の内容に従って相続するため、遺言書があるかどうか確認する必要があります。
遺言書にはいくつか種類があります。ルールに従って作成された遺言書でないと無効になるため、どのような遺言書があるのか理解しておきましょう。
遺言書の種類について
遺言書には、全部で以下の3つの種類があります。
- 公正証書遺言
- 自筆証書遺言
- 秘密証書遺言
公正証書遺言
公正証書遺言とは、被相続人が生前に法務大臣に任命された公証人に依頼して、公証役場で作成してもらった遺言書のことです。
作成された遺言書の原本が公証役場に保管されているので、改ざんの心配がないというメリットがあります。相続発生後であれば、相続人が遺言書を開封しても問題ありません。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、被相続人自らが作成した遺言書のことです。自筆証書遺言は、遺言書を発見した相続人に内容を改ざんまたは破棄される、そもそも遺言書が発見されないリスクがあるので注意が必要です。
遺言書が見つかった場合は、相続人立会いのもと、家庭裁判所で遺言書を開封する検認の手続きを行います。検認の手続きを行わずに遺言書を開封すると、遺言書の効力が無効になるので注意しましょう。
秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言書の内容は誰にも公開せず秘密にしますが、遺言書の存在を公証人に証明してもらう遺言書のことです。
公正証書遺言は公証人に遺言書の内容を伝えますが、秘密証書遺言は内容を伝えないという点で異なります。自筆証書遺言と同様、開封する際は家庭裁判所での検認の手続きが必要です。勝手に開封した場合、遺言書の無効になるので注意してください。
遺言書がない場合
遺言書が作成されていない場合は、民法が定める法定相続人の範囲内で相続順位が決まります。法定相続人が遺産分割について話し合う、遺産分割協議に進むことになります。
相続財産の確認と相続人の決定
相続財産とは、被相続人が所有する財産のことです。相続財産には、現金や預金、有価証券、不動産といったプラスの財産だけでなく、借金や住宅ローンの残債などのマイナスの財産も含む点に注意してください。
相続財産の確認と並行して、誰が相続人なのかを特定します。相続人が複数人いる場合には、以下の相続順位に従います。
相続順位 | 相続人 |
---|---|
常に相続人 | 配偶者 |
第1順位 | 子 |
第2順位 | 父や母(直系尊属) |
第3順位 | 兄弟姉妹 |
配偶者は、常に相続人になります。第2順位の相続人は、第1順位の相続人がいない場合に相続人になります。以下も同様です。
遺産分割協議と相続内容を決める
遺産分割協議では、遺産の分割方法について話し合います。現金や預金のように分割が容易な財産の分割では問題が生じにくいですが、マンションや車などの分割が困難な遺産をどのように相続するかで揉めやすいので注意が必要です。
分割が困難な遺産の分割方法として、以下の4つが挙げられます。
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
- 共有分割
現物分割
現物分割とは、財産をそのまま遺産分割する方法です。例えば、2,000万円の現金、2,000万円のマンションが相続財産の場合、相続人が兄弟であれば、兄がマンション、弟が現金を相続します。
速やかな遺産分割が期待できますが、マンションの相続を複数人が希望する場合や現金がマンションの価値を下回る場合には選択できません。
代償分割
代償分割とは、相続人の1人がマンションを相続し、差額を現金で補う方法です。例えば、1,000万円の現金、2,000万円のマンションが相続財産の場合、相続人が兄弟であれば、兄がマンション、弟が現金を相続し、兄が500万円を現金で弟に渡します。
公平性の高い分割方法といえますが、マンションの相続を複数人が希望する場合や相続人の一方に差額を補う資金力がない場合は選択できません。
換価分割
換価分割とは、マンションを現金化してから遺産分割する方法です。例えば、1,000万円の現金、2,000万円のマンションが相続財産の場合、マンションを売却して3,000万円の現金に換えた後、相続人が兄弟であれば、兄弟ともに1,500万円ずつ現金を相続します。
最も公平性が高い分割方法ですが、マンションの相続を希望する相続人がいる場合は選択できません。
共有分割
共有分割とは、マンションを共有名義にして複数人で相続する方法です。兄と弟が相続人の場合には、名義を被相続人から兄と弟の共有名義に変更します。
遺産分割協議がなかなか進まない場合に有効な選択肢ですが、相続後のコストの負担を誰がするのか揉める、相続が繰り返されると名義関係が複雑になりトラブルに発展しやすい点に注意が必要です。
「共有分割」は問題の先送り?
共有分割は問題の先送りといわれている理由は、将来的にマンションの意思決定を行いにくくなるためです。共有名義のマンションを売却したい、賃貸として貸し出したいと思っても、独断で行うことはできず、名義人全員の承諾が必要です。
共有名義のまま放置して、その名義の相続が繰り返された場合は、誰が共有者なのか把握が困難になります。また、共有者が増えると承諾を得る手間が増えるほか、承諾をなかなか得にくくなるため、余程の理由がない限りは他の分割方法を選択することをおすすめします。
マンション相続の手続きについて
マンションを相続することに決まっても、自動的にマンションの名義人が被相続人から相続人に移るわけではありません。
名義変更を相続人自らが行わなくてはならないため、手順を理解し、円滑に手続きを進める必要があります。マンション相続の手続きのステップは、以下の3つです。
- 1.遺産分割協議の作成
- 2.相続税の申告・納付を行う
- 3.マンションの相続登記を行う
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書とは、遺産分割について話し合う遺産分割協議で決まった内容をまとめたものです。遺産分割協議書は、被相続人の預貯金を引き出す際やマンションの相続登記の際にも必要です。
相続人全員の署名・押印が必要になるほか、印鑑証明書も必要になるので用意しておきましょう。
相続税の申告・納付を行う
被相続人の遺産総額が基礎控除を上回っている場合、相続税の申告・納付が必要です。相続税の申告・納付は相続人が亡くなったのを知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなくてはなりません。
相続税は、原則現金での一括納付となっています。延納が認められる場合もありますが、期日までに現金で一括納付できるように、資金を確保しておきましょう。
マンションの相続登記を行う
相続登記は、法務局で行います。現時点では相続登記の期限は決まっていませんが、2024年度からは3年以内に登記しなければ過料の対象となるので、なるべく早めに済ませましょう。
相続登記は自分で行えば1万円前後の費用で済みますが、司法書士に依頼すると数万円程度かかります。しかし、書類を用意する手間や手続きの手間を考えると、司法書士に依頼するのも選択肢の1つといえるでしょう。
マンション相続にかかる税金と費用
マンションの相続には何かとお金がかかります。資金不足で手続きができなかったということがないように、どのようなお金がかかるのかを事前に把握し、用意しておくことが大切です。
マンション相続にかかる税金と費用には、以下の2つが挙げられます。
- 登録免許税
- 相続税
登録免許税
登録免許税とは、マンションの名義を変更する場合に法務局に支払う税金です。登録免許税は、以下の計算式で算出します。
固定資産税評価額×0.4%
固定資産税評価額が高い不動産ほど、登録免許税が多くかかるので注意が必要です。
相続税
相続税とは、相続した財産に対して課される税金です。プラスの財産とマイナスの財産を合算して、プラスの財産が上回っていた場合に課されます。
しかし、プラスの財産が上回っていれば必ず課税されるというわけではありません。各種控除を利用すれば、税負担を軽減することが可能です。
相続税は基礎控除が受けられる
相続税には基礎控除が設けられています。基礎控除の計算式は、以下の通りです。
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
例えば、配偶者とお子さん2人の3人で相続する場合における基礎控除は、「3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円」です。
仮に、相続財産が現金2,000万円、マンション2,500万円を合算した4,500万円だった場合、基礎控除が相続財産を上回っているので相続税は課されません。上記のように基礎控除を上回るケースでは、相続税の申告も納税も不要です。
相続税の配偶者控除について
相続税の配偶者控除とは、配偶者が財産を相続する場合に、相続税が減額される制度です。配偶者が相続した遺産額が、1億6,000万円または配偶者の法定相続分のいずれか大きい金額まで相続税が課されません。
配偶者控除を利用すれば、大幅に配偶者の税負担を軽減できるでしょう。
マンション相続後の3つの選択肢
マンションを相続したものの、その後の扱いに困っている方も少なくありません。マンションを相続してから扱いに困ることがないように、どのような選択肢があるのかを把握しておく必要があります。
マンション相続後の選択肢には、以下の3つが挙げられます。
- 相続したマンションに住む
- 相続したマンションを貸す
- 相続したマンションを売る
1.相続したマンションに住む
相続発生時に相続したマンションに住んでいるのであれば、相続したマンションに住み続けるのが有用です。その理由は、相続手続きだけでマンションを取得できるほか、引っ越さずに済むためです。
すでに持ち家を有している場合、住み替えの手間や費用がかかるため、手放したくないといった理由がない限り他の方法を選択したほうがよいでしょう。
2.相続したマンションを貸す
相続したマンションを貸し出すことによって、借主から家賃を受け取ることができます。また、空き家のまま放置した場合、管理が行われないことで室内の劣化が進行しやすくなりますが、人が住むことで劣化の進行を遅らせることが可能です。
将来的に住む可能性がある、手放したくない方におすすめする選択肢ですが、マンションを貸し出す場合にはトラブルを未然に防ぐためにも、賃貸物件を取り扱う不動産会社に相談しながら決めましょう。
3.相続したマンションを売る
誰も住む予定がないのであれば、相続したマンションを売却することも選択肢の1つです。現金化したほうが遺産分割を行いやすくなるほか、まとまった現金を確保できるためです。
ただし、売却する場合にはいくつか注意点があります。詳しくは後述するので、売却を選択する方は注意点を事前に確認してから売却しましょう。
相続したマンションの「放置」はよくない
空き家として放置していても、室内の劣化が進行するほか、固定資産税や都市計画税、管理費や修繕費などの支払いが続きます。資産価値の下落や無駄な支出の増加につながるので、放置は基本的におすすめしません。
将来的に住む予定がないのであれば、早めに売却しましょう。
相続したマンションを売却する際の注意点
相続したマンションを売却する際の注意点には、以下の3つが挙げられます。
- 査定は複数社で行い、業者選びは慎重に
- 内覧の時には、部屋は「空っぽ」が理想
- ハウスクリーニングを行う
査定は複数社で行い、業者選びは慎重に
マンションを売却する際は、いくらくらいで売れるのかを把握するために、不動産会社に査定を依頼します。査定を依頼する際は1社だけでよいと考えている方もいるかもしれませんが、不動産会社によって査定結果が異なるため、複数の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
複数社の査定結果や各不動産会社の強み、担当者との相性などを総合的に判断しつつ、仲介を依頼する業者を慎重に選びましょう。
内覧の時には、部屋は「空っぽ」が理想
購入検討者が現れた場合は、どのような物件なのかを確認するための内覧が行われます。内覧では一般的に、部屋を空っぽにしておくことをおすすめします。
その理由は、ショールームのような状況であれば問題ありませんが、生活感がありすぎるとマイナスの印象を与える可能性があるためです。家具がないほうが部屋を広く見せる効果もあるため、特に問題なければ不要な家具を処分するほか、荷物を移動させておきましょう。
ハウスクリーニングを行う
内覧に備えて部屋を片付けるほか、ハウスクリーニングを行うのも選択肢の1つです。ハウスクリーニングの費用は数万円程度かかりますが、プロが専門の薬剤や機材を使用して部屋をきれいにしてくれるので、印象が格段によくなります。
水回りの印象は内覧の結果を大きく左右するため、水回りのハウスクリーニングだけでも依頼しましょう。
「相続」が重要になる今後の不動産市場
マンション相続は、今後も増加することが予想されます。そのため、不動産仲介業者がマンション相続に関する相談を受ける機会も増えるでしょう。
その際、不動産仲介業者がマンション相続の知識を身につけて、地域の相談先としての地位を獲得できれば、売却案件の受注を増えるので業績アップにつながります。相続ビジネスは近年の集客トレンドになっているといえるでしょう。
LIXIL不動産ショップでは相続ビジネスセミナーを開催中
LIXIL不動産ショップでは「相続サロン」というブランドを展開し、消費者と専門家の橋渡しを新たな不動産案件の獲得につなげるビジネスモデルを構築しています。
また、不動産経営者様のためのセミナーを、Webや全国各地で開催しており、収益拡大の方法や、「相続ビジネス」に関する内容も学べます。
セミナーについては、こちらを詳しくご覧ください。
https://fc.era-japan.com/seminar-info/
まとめ
少子高齢化の進行で、相続によって親のマンションを取得する方が増えています。マンションを相続しても、どのように扱えばよいのか分からず悩んでいる方も多いため、不動産仲介業者にとってこの状況は業績拡大が期待できる新たなビジネスチャンスといえるでしょう。
そこで重要なのは、相談者の相談に応じられるように、相続に関する必要な知識を身につけることです。何をどうすればよいか分からないという方は、時代の変化に乗り遅れないためにも、相続の知識を身につけられるフランチャイズに加盟することをおすすめします。