お役立ち情報室
- TOP >
- お役立ち情報室(一覧) >
- 不動産仲介業の資格は宅建だけじゃない?開業時に必須・有利な資格や、取得の順番を解説
不動産仲介業の資格は宅建だけじゃない?
開業時に必須・有利な資格や、取得の順番を解説
はじめに
不動産業界での起業を考えている方の中には、起業に必要な資格があるのか詳しく知りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。資格が必要な場合、不動産業界での起業ができないので、必要な資格についての知識を身につけることが大切です。
この記事では、不動産仲介業とは何か、不動産仲介業を始めるにあたって必要な資格や、あると便利な資格などについて解説します。不動産業界での起業を考えている方はぜひご参照ください。
不動産仲介業とは
不動産仲介業とは、不動産を買いたい方と売りたい方、貸したい方と借りたい方を結び付けるビジネスです。買主と売主、貸主と借主が直接契約することも可能ですが、複雑な法的手続きを行わなくてはならず、契約の不備が原因でトラブルに発展することも少なくありません。
不動産仲介業者は、専門的知識を必要とする売買契約や賃貸借契約などをサポートすることで、手数料収入を得ています。
不動産仲介業には資格が必要
不動産仲介業は、誰でも始められるというわけではありません。不動産仲介業を始めるには資格が必要です。
具体的には、宅地建物取引士という国家資格を保有する従業員が必要になるほか、設立した会社そのものも宅地建物取引業法に規定されている国土交通大臣または都道府県知事の免許を取得しなくてはなりません。
誰でも簡単に始められるものではないため、不動産仲介業を始める際にどのような資格が必要なのかを明確に把握しておくことが大切です。
不動産仲介業に必須と言える資格「宅地建物取引士(宅建士)」
「宅建」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。宅建とは、宅地建物取引士(宅建士)のことで、不動産仲介業を開始する際に必須となる国家資格です。
必須となる理由は、不動産仲介業を開始するにあたって、設立した1つの営業所あたり5人につき1人以上の専任の宅建士が必要だからです。オーナー自らが資格を取得する必要はありませんが、資格を有する従業員が会社を退職した場合は営業を継続できません。
トラブルを回避するためにも、オーナー自らが取得しておくことをおすすめします。宅地建物取引士の合格率や取得までの大まかな期間は以下の通りです。
合格率:17.0%(令和4年度)
取得までの大まかな期間:300~400時間程度
不動産資格の三冠と呼ばれる資格
宅地建物取引士の資格は、不動産仲介業を開始する際に必須の国家資格であると説明しました。この宅地建物取引士にマンション管理士と管理業務主任者の2つを加えた3つの資格は、不動産業の資格三冠と呼ばれています。
マンション管理士と管理業務主任者は必須というわけではありませんが、出題範囲が重なる部分も多く、余裕がある方は取得してみてはいかがでしょうか。
マンション管理士
マンション管理士とは、マンションの住民が安心して暮らせるようにサポートする専門家です。具体的には、管理規約の見直しや大規模修繕計画の策定、トラブルの解決交渉などのアドバイスやサポートを行います。
後述する管理業務主任者は、マンション管理会社のスタッフとしてマンション管理組合を顧客とします。一方、マンション管理士は、マンション管理組合側の立ち位置となる点が大きな違いです。
合格率:11.5%(令和4年度)
取得までの大まかな期間:500時間程度
管理業務主任者
管理業務主任者とは、マンション管理業を開始する場合に必須となる国家資格です。マンション管理業とは、マンション管理組合から依頼を受けてマンションの日常管理や定期的な修繕などをサポートする業務です。
マンション管理会社には、事務所ごとに一定数の管理業務主任者を置かなくてはならないと決められています。また、重要事項の説明、管理業務の報告などは管理業務主任者の資格を保有する人物しか行えないことから、宅地建物取引士と同様に需要の高い資格です。
合格率:18.9%(令和4年度)
取得までの大まかな期間:300~400時間程度
不動産仲介業として、業務の幅を広げる資格
宅地建物取引士は、不動産仲介業の開業には必須資格です。また、不動産三冠全てが揃うと業務の幅が広がります。さらに、以下の6つの資格を取得すれば業務の幅や知見がさらに広がり、信頼を得られるようになるので、開業にとってプラスといえるでしょう。
- 不動産鑑定士
- 土地家屋調査士
- 賃貸不動産経営管理士
- 住宅ローンアドバイザー
- 不動産コンサルティングマスター
- ファイナンシャルプランナー
不動産鑑定士
不動産鑑定士とは、不動産の価値を客観的に判断して価値をつけることができる専門家です。不動産の正確な価値を判断できる専門家として、一定の需要があります。
不動産鑑定士試験に合格してから実務修習を1年もしくは2年行い、実習後の終了考査に合格、各都道府県の不動産鑑定士協会に登録をしてようやく不動産鑑定士になれます。
合格率:16.4%(令和4年度)
取得までの大まかな期間:2,000時間程度
土地家屋調査士
土地家屋調査士とは、土地の測量や調査を行う専門家です。不動産の面積増減や土地の用途変更などの表示の登記における測量や調査などを行える専門家として、一定の需要があります。
合格率:9.62%(令和4年度)
取得までの大まかな期間:1,000時間程度
賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士とは、賃貸物件に関連する知識や技能などを備えた専門家です。資産運用の一環として賃貸経営を行っている方の多くは、不動産会社に管理を委託しています。
委託を受ける際は、賃貸不動産経営管理士が重要事項説明を行う必要があることから、宅地建物取引士と同様、需要の高い資格といえます。
合格率:27.7%(令和4年度)
取得までの大まかな期間:100~200時間程度
住宅ローンアドバイザー
住宅ローンアドバイザーとは、住宅ローンを安心して組めるようにサポートする専門家です。民間資格なので国家資格と比較すると合格率が高く、取得しやすい資格と言えます。
合格率:80.2%(令和4年度)
取得までの大まかな期間:20~30時間程度
不動産コンサルティングマスター
不動産コンサルティングマスターとは、不動産のコンサルティング業務を行うにあたって、一定水準の知識や技能を備えた専門家です。
民間資格ですが、宅地建物取引士や不動産鑑定士登録者、一級建築士登録者しか受験できません。そのため、まずはそれらの試験に合格する必要があります。
合格率:42.7%(令和4年度)
取得までの大まかな期間:100~200時間程度
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーとは、お金と暮らしに関する専門家です。マイホームを購入する方は、ローンの返済ができるか不安を抱えている方も多いです。
ファイナンシャルプランナーは生活する上で必要な家計に関する幅広い知識を備えており、マイホーム購入に不安を抱く方々へのアドバイスやサポートを行えるようになります。相談者に的確なアドバイスができれば、成約率アップにつながるでしょう。
合格率:学科:42.16%、実技56.55%(令和4年度の2級受験)
取得までの大まかな期間:200~300時間程度
不動産仲介業で、顧客とより深く関わるための資格
不動産仲介業としてだけではなく、不動産そのものに向き合い、顧客と深く関わることができる資格として、以下の2つが挙げられます。
- 建築士
- インテリアコーディネーター
建築士
建築士とは、建築に関する専門家です。一級建築士や二級建築士などは、建物の建築が認められた専門家で、一級建築士は国家資格、二級建築士や木造建築士、管理建築士などは都道府県資格です。
一級建築士や二級建築士を取得するには、大学の建築学科を卒業している必要があるほか、実務経験があるなどの一定条件を満たさなくてはなりません。しかし、取得できた場合、新たに住宅を新築する方に、物件に対するさらに詳しい助言が可能になるでしょう。
インテリアコーディネーター
インテリアコーディネーターとは、間取りや家族構成、生活スタイルなどに合う内装を提案する専門家です。住宅のみならず、店舗やオフィスのインテリアを顧客の要望に応じてアドバイスできるようになります。
物件の提案だけでなく、提案後の内装に関するアドバイスやサポートが可能になるでしょう。
不動産仲介業で開業する際に資格を取る理想的な順番は?
不動産仲介業に役立つ資格はいくつかありますが、全てを同時に取得する必要はありません。不動産仲介業に役立つ資格は、必須の資格とそうでない資格に分かれます。
優先順位を明確にして、効率よく取得することが大切です。
まずは「宅地建物取引士(宅建士)」
不動産仲介業を開業するのであれば、まずは宅地建物取引士の取得に専念する必要があります。その理由は、不動産仲介業は、宅地建物取引士がいないと開始できないためです。
宅地建物取引業を営む不動産仲介業者は、設立した1つの営業所あたり5人につき1人以上の専任の宅建士を配置しなくてはなりません。また、以下の3つの業務は宅建士しか行うことができません。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書の記名
- 契約書への記名
不動産仲介業開業のためには宅建士が必須なので、まずは宅建士の取得を目指しましょう。
不動産資格三冠と、その他の資格
宅地建物取引士の資格を取得した後は、必要に応じて不動産資格三冠やその他の資格の取得を目指します。
もし、不動産資格三冠を目指す場合には、マンション管理業を行う際に必須となる管理業務主任者を優先し、合格後にマンション管理士の取得を目指す形がよいでしょう。
出題範囲はほとんど同じなので、両方を同時に受けても問題ありません。ただし、マンション管理士の合格率は、管理業務主任者と比べて極めて低いということを理解しておく必要があります。
不動産の資格三冠を取得した後は、業務内容や深めたい知識に応じて、必要な資格を取得しましょう。
資格とともに経営ノウハウも必要
資格の取得は、あくまでも不動産仲介業を開始できるようにするための手段であって、目的ではありません。資格を取得しても、開業に必要な知識や経営ノウハウが全く身についていないままであれば、不動産仲介業の開業に失敗するリスクが高まります。
不動産仲介業の開業を成功させるには、資格以上に開業に必要な知識や経営ノウハウなどを身につけることも大切だということを理解しておきましょう。
資格を活かして不動産開業を成功させるには
不動産仲介業を開業するにあたり、資格を取得することはもちろん大切です。しかし、同時に経営ノウハウを身につけることも必要であるということを忘れてはなりません。
経営ノウハウを身につける方法としておすすめするのが、フランチャイズに加入するという方法です。独学で経営ノウハウを身につけることは簡単なことではありません。フランチャイズに加盟すれば、効率よく経営に必要なノウハウを身につけられるほか、以下のようなメリットを享受できます。
- 経営指導を受けられる
- 未経験でも算入できる
- 本部のブランド力を活かせる
- 銀行からの融資を受けやすい
- コストを抑えられる可能性がある
不動産仲介業の開業でスタートダッシュを決めて、安定した経営を行うためにも、フランチャイズへの加盟を検討してみてはいかがでしょうか。
LIXIL不動産ショップでは不動産経営者様からこれから開業される方向けのセミナーをWebや全国各地で開催中!
セミナー情報の詳細はこちらからご覧ください。
https://fc.era-japan.com/seminar-info/
また、不動産仲介業の開業については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
>>不動産開業は未経験からでもできる?注意点や成功の秘訣を解説
まとめ
不動産仲介業を開業するには、宅地建物取引士という資格が必須になります。なぜなら、不動産仲介業を行う営業所1つあたりに、5人につき1人以上の専任の宅建士を配置しなくてはならず、重要事項の説明などのように宅建士にしか認められていない業務があるためです。
そのため、不動産仲介業を始めたい方は、まず宅地建物取引士の資格取得を目指しましょう。不動産仲介業の開業に役立つ資格は他にもあります。
ただ先述した通り、資格取得は不動産仲介業を開始できるようにするための手段であって、目的ではありません。開業に必要な経営ノウハウを身につけることも大切です。
効率よく経営ノウハウを身につけられるほか、ブランド力による安定した需要が期待できるフランチャイズの加盟も検討しながら不動産仲介業の開業を目指しましょう。