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宅建士独立への道。
開業までの流れや費用、失敗ケースもご紹介
はじめに
宅建士の資格取得や取得後に独立したいと考えている方の中には、宅建士として独立するためにはどのような流れで独立を進めるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。独立する際には費用もかかるので、どれくらいになるかも把握しておくことが大切です。
この記事では、宅建士を取得することで何ができるか、開業するまでの流れ、開業時にかかる費用、宅建士が独立開業するメリット・デメリットなどについて解説します。宅建士を取得して、将来的に独立開業したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
宅建士を取得すると何ができる?
宅建士とは、宅地建物取引士の略称です。国家資格の1つで、取得するには宅地建物取引士の試験に合格し、資格登録を経て宅建士証の交付を受けて、宅建士と名乗ることができます。
宅建士の資格を取得すれば、不動産物件の仲介や建物の取引、土地の取引などが可能になります。
宅建士の資格さえあれば独立出来るか
宅建士の資格さえあれば独立できるというわけではありません。独立開業するには、試験を受けた都道府県に資格登録と宅建士証の交付申請をする、開業資金を用意するといった準備が必要になります。
他にも、事務所の賃貸借契約を締結する、開業に必要な免許を取得するなどのように多くの手続きが必要なので、独立開業を検討しているのであれば事前に何が必要なのかを把握しておくことが大切です。
宅建士が独立開業するまでの流れ
宅建士が独立開業するには、さまざまな準備が必要です。不備なく速やかに開業するには、どのような流れで独立開業するのかを事前に把握しておくことが大切です。
宅建士が独立開業するまでの流れは、以下の5つのステップです。
- 1.宅建試験の合格
- 2.資格登録・宅建士証の交付
- 4.宅地建物取引業免許の申請・取得
- 5.営業保証金の供託(保証協会に加入)
それぞれの流れを詳しく見ていきましょう。
1. 宅建試験の合格
宅建士として独立開業を目指すためには、まずは宅建士の資格を取得しなくてはなりません。宅建士の資格を取得するには、例年10月の第3日曜日(1年に1回)に行われる宅地建物取引士の試験に合格する必要があります。
受験資格には制限がなく、誰でも受験できます。しかし、合格率15~17%と低いため、しっかり勉強してから試験に臨みましょう。
2. 資格登録・宅建士証の交付
試験合格後は、資格登録と宅建士証の交付に移ります。資格登録は任意なので、試験に合格したからといって必ず資格登録が必要というわけではありません。
ただし、宅建士として働く場合には宅建士証の交付が必要で、そのためには資格登録が必須となっているので注意が必要です。また、実務経験が2年未満の方は、登録前に登録実務講習を受ける必要があります。
3. 事務所を設置する
宅建士として独立開業するには、後述する宅地建物取引業免許が必要です。この免許を獲得するには、個人か法人かに関係なく事務所の設置が必須となっているため、事務所を用意しなくてはなりません。
また、法人として開業する場合には、事務所を設置するだけでなく法人登記(会社設立登記)もあわせて行う必要があるので覚えておきましょう。
個人で開業する場合の注意
事務所を設置するには、費用がかかります。そのため、個人での開業を検討している方の中には、自宅の一部を事務所として利用することで費用を抑えたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
自宅の一部を事務所に利用することは可能ですが、「住居用とは別に事務所用の出入り口が必要」「独立した事務所スペースが必要」といったルールに従う必要があります。
4. 宅地建物取引業免許の申請・取得
宅建業を開始するには、宅地建物取引業免許が必要です。宅地建物取引業免許には2種類の区分があり、1つは都道府県知事免許、もう1つは国土交通大臣免許です。
都道府県知事免許は事務所を都道府県内に設置する場合、国土交通大臣免許は複数の都道府県に事務所を構える場合に必要となる免許という違いがあります。
宅地建物取引業免許で取得するための要件
宅地建物取引業の免許を受けるには、以下のような要件を満たさなくてはなりません。
- ルールに従った事務所を設置している
- 宅地建物取引士が在籍している
- 欠格事由に該当していない
欠格事由とは、免許を受けられない事由と5年間免許が受けられない事由に分かれます。これらの欠格事由に該当する場合は、免許を受けられないので注意してください。法人を設立する場合は、法人の代表者だけでなく役員も欠格事由に該当してはいけません。
5.営業保証金の供託(保証協会に加入)
宅地建物取引業法には、不動産会社として営業を開始するには供託金を預けることが義務付けられています。営業保証金を供託する方法は、以下の2つから選択します。
- 最寄りの法務局に1,000万円の営業保証金を納める
- 保証協会に弁済業務保証金分担金として60万円を納めるる
1,000万円は簡単に用意できる金額ではありません。そのため、保証協会に加入するのが一般的です。
宅建士の独立に必要な費用と内訳
宅建士の独立開業には何かとお金がかかるため、開業を速やかに進めるためにもどのような費用がかかるのか事前に明確にしておくことが重要です。宅建士の独立開業には以下のような費用がかかります。
- 宅建の受験から宅建士証交付にかかる費用
- 事務所の開設費用
- 各協会への加入料
- 広告費・ホームページ開設費
- 日々の生活費
それぞれの費用について詳しく解説していきます。
宅建の受験から宅建士証交付にかかる費用
宅建の受験から宅建士証交付にかかる費用は、勉強と受験にかかる費用、資格登録と宅建士証の交付にかかる費用の大きく2つに分けられます。
勉強と受験にかかる費用は、選択する勉強方法によって金額が大きく異なるので注意してください。
宅建士の勉強と受験にかかる費用
独学で勉強する場合、市販の参考書や予想問題集などの購入費用として1万円程度を想定しておきましょう。通信講座や資格スクールを受講する場合、通信講座は内容による差が大きく1~10万円程度、資格スクールは10万円程度の費用がかかります。
なお、受験する際は受験料として8,200円(令和5年の場合)を支払わなくてはなりません。
資格登録と宅建士証交付にかかる費用
宅建士の試験に合格した後は、資格登録へと移りますが、資格登録には3万7,000円の手数料がかかります。また、実務経験が2年未満の方は、登録実務講習を受講しなくてはなりません。受講費用は2万円程度です。
資格登録が完了した後は、宅地建物取引士証の交付申請手数料として4,500円かかります。また、資格試験の合格から1年を超えて申請する場合は法定講習を受講しなくてはならず、1万2,000円の受講費用がかかるので1年以内に申請しましょう。
宅建士証は5年ごとに更新しなければならず、その都度更新料がかかることも覚えておきましょう。
事務所の開設費用
事務所を開設する際は、以下のような費用がかかります。
- 事務所の敷金と賃料、内装工事費用:100~200万円程度
- 備品費(オフィス家具やPC、事務用品、コピー機など):20~100万円程度
- 通信費(電話、インターネット):5~10万円程度
上記から事務所の開設費用として100~300万円程度の資金が必要であることが分かります。自宅で開業すれば事務所の敷金と賃料、内装工事費用の負担を抑えられます。しかし、「住居用とは別に事務所用の出入り口が必要」「独立した事務所スペースが必要」といったルールを満たさなくてはなりません。
各協会への加入料
不動産会社として営業を開始する場合は、法務局か保証協会に必ず供託金を納めなくてはなりません。また、宅建協会に加入すれば手厚いサポートが受けられます。
保証協会の加入料
営業保証金として供託金を法務局に納める場合は、1,000万円を用意しなくてはなりません。しかし、供託金を1,000万円用意できる方は少なく、基本的には保証協会に加入することになります。
保証協会に加入すれば、法務局に1,000万円を納める必要はなく、保証協会に弁済業務保証金として60万円を支払うだけで済みます。
宅建協会の加入料
保証協会に供託金を納めるということは、宅建協会に加入するということでもあります。そのため、供託金とは別に宅建協会への加入料を納めなくてはなりません。宅建協会の加入料は以下のどちらに加入するかによって異なります。
- 全国宅地建物取引業協会連合会:入会金20万円、年会費6,000円
- 全日本不動産協会:入会金70万円、年会費8万4,000円
宅建協会に加入した場合、契約書や重要事項説明書のフォーマットを使用できる、不動産仲介を円滑に行える、レインズを利用できるなどの恩恵を受けられます。
広告費・ホームページ開設費
近年はインターネットで物件情報を検索する方が増えているため、ネットでの集客は欠かせません。例えば、物件情報が数多く登録された不動産情報サイトに物件情報を掲載する際は広告費がかかります。
また、広告の受け皿となるホームページの作成も必要です。広告やホームページ作成に力を入れるかによって異なりますが、50万円程度の費用を想定しておきましょう。
日々の生活費
宅建士として独立開業するには300万円程度の資金が必要ですが、開業してすぐに経営が軌道に乗るわけではありません。軌道に乗るまでは収入が不安定になることを想定しておくことが大切です。
そのため、独立開業する際は、開業資金300万円に加えて数ヶ月分の生活費を確保しておく必要があります。開業後のトラブルを回避するためにも、余裕を持って資金を確保しておきましょう。
宅建士が独立開業するメリット
宅建士が独立開業するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 自分の裁量で働ける
- 在庫を抱えるリスクが無い
- 高い収入が期待できる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
自分の裁量で働ける
サラリーマンの場合は、会社という組織に属しているため、会社の方針に従わなければなりません。しかし、独立開業すれば、組織のしがらみから解放されるため、自分の裁量で仕事ができるようになります。
自分のスタイルで働くことができるので、ストレスを抱えずに仕事に取り組めるでしょう。
在庫を抱えるリスクが無い
小売業の場合、商品の在庫を抱えることになります。そのため、独立開業する際は初期費用が大きく、商品が売れ残った場合は不良在庫を抱えることになるため、独立開業のリスクが高いでしょう。
しかし、不動産仲介業の場合、在庫を抱えることはありません。初期費用を抑えることでリスクを抑えながら独立開業できる点は、他の業種と比べて大きな強みといえるでしょう。
高い収入が期待できる
不動産仲介業の場合、主な収入源は契約を成立させたことで得られる仲介手数料です。400万円を超える取引の仲介手数料は、「売買価格×3%+6万円+消費税」の速算式で算出できます。
3%と聞くと少なく感じるかもしれませんが、扱っている不動産の金額は数千万円が一般的です。1回の取引で得られる手数料は数十万円~数百万円と高く、一般的な会社員よりも高い収入が期待できる点が魅力です。
宅建士が独立開業するデメリット
宅建士が独立開業するデメリットとして、以下の3つが挙げられます
- 開業資金の費用が高い
- 売上がなければ給料もなくなる
- 業務量の増加
それぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。
開業資金の費用が高い
宅建士として独立開業する場合、在庫の確保や設備投資などは必要ないものの、事務所開設費用や各協会への加入料などで300万円程度の初期費用がかかります。
在庫を抱える、設備投資が必要な業種と比較すると初期費用は抑えられますが、開業時に初期費用がほとんど必要ない業種もあることを踏まえると、開業のハードルが高いといえるでしょう。
売上がなければ給料もなくなる
サラリーマンとして勤務していた頃は売上がゼロだった場合でも給料は最低限保障されていました。しかし、独立開業した場合、誰も給料を保障してくれません。
収入の有無は、全て自分にかかっていて自己責任です。売上がなかった場合はその月の収入がゼロになることを覚悟した上で独立開業しましょう。
業務量の増加
サラリーマンの場合、業務ごとに役割が分担されているため、一人ひとりの社員の業務量は限られています。しかし、独立開業した直後は、全ての業務を基本的には自身で行わなくてはなりません。
営業活動に加えて経理や雑務なども全て自身で行わなくてはならず、業務量の増加で体力的・精神的な負担が大きいので注意してください。
宅建士の独立開業でよくある失敗するケース
宅建士として独立開業したからといって成功が保証されているわけではありません。独立開業がうまくいかず失敗に終わる方も一定数います。独立開業を成功へと導くには、よくある失敗例から対策を練って独立開業に臨むことが大切です。
独立開業のよくある失敗例として、以下の3つが挙げられます。
- 実務経験の不足
- 資金の準備不足
- 集客がうまくいかない
それぞれの失敗例について詳しく解説していきます。
実務経験の不足
営業経験がある方でも、不動産仲介業の未経験者の場合は入居希望者の内見や契約などの点で一般的な営業と異なる点が多いため、実務経験の不足が露呈しやすいです。また、いくら経験者であっても、慣れない経理や雑務なども自身で行うことで、ミスが生じやすいでしょう。
実務経験の不足が原因でお客様の信頼を得られなかった場合は、売上の低迷によって独立開業が失敗に終わる可能性があるので土台をしっかり固めてから独立開業しましょう。
資金の準備不足
宅建士として独立開業後、すぐ軌道に乗ると安易に考えていると、資金不足が原因で独立開業が失敗に終わる可能性があるので注意してください。
独立開業する場合は、開業に必要な初期費用だけでなく、数ヶ月間は売上がなくても耐えられるように自身の生活費も確保しておく必要があります。半年から1年程度は事務所を維持できる費用を貯めておけば、万が一軌道に乗るのに時間がかかっても落ち着いて対応できるでしょう。
集客がうまくいかない
大手企業の場合、ネームバリューを活かして容易に顧客を獲得できる可能性があります。しかし、独立開業は知名度が低く、開業当初は顧客獲得に時間を要します。
新聞折り込みやポスティング、不動産情報サイトの活用、自社サイトの制作、SNSの運用といったように従来の顧客獲得の方法だけでなく、新しい顧客獲得の方法を取り入れて他との差別化を図る必要があるでしょう。
不動産のweb集客については、こちら記事でも詳しく解説しています
>>不動産会社がやるべきWeb集客。店舗やチラシでも出来るその方法とは
集客は同業者とのつながりが鍵
不動産業界の独立開業で重要になるのが、同業者とのつながりです。顧客や同業者との深い付き合いができれば良質な物件を回してもらえる、顧客を紹介してもらえるといった可能性があります。
しかし、顧客や同業者との信頼関係を築くのは簡単ではありません。信頼関係は時間をかけて築くものです。その間の支出に耐えられるように資金を多めに用意しておきましょう。
LIXIL不動産ショップに加盟して集客力UP
宅建士として独立開業することは可能ですが、知名度の低さから事業が軌道に乗るまでは時間がかかるため、簡単なことではないと言えるでしょう。
そこでおすすめするのがフランチャイズに加盟するという方法です。LIXILの不動産フランチャイズであれば、大手企業のブランド力を活かすことで集客力が上がる、蓄積されたノウハウを活かすことで業務効率を格段に上げることができるでしょう。
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まとめ
宅建士として独立開業した場合、自分の裁量で働ける、大きな収入が期待できるなどのメリットがあります。一方で、初期投資として300万円程度が必要になる、収入が保障されていないなどのデメリットもあるため、両者を踏まえた上で本当に独立開業すべきかどうか判断することが大切です。
独立開業する際は、リスクを少しでも抑えるためにも、売上がなかった場合に備えて余裕を持った資金計画を立てておきましょう。
また、知名度の低さゆえに事業を軌道に乗せるのに時間がかかる、業務負担が大きいため、フランチャイズに加盟して有利に独立開業を進めるのも選択肢の1つといえるでしょう。